『マーケットの魔術師』から学ぶ投資の名言・哲学とは?本質を徹底解説

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100人投資家がいれば、100通りの市場へのアプローチ方法がありますが、その土台となる運用哲学や投資に対する心構えについては、ほぼすべての投資家にとって共通なものがあるのではないでしょうか。

このコラムでは、著名ファンドマネージャーのインタビューを軸に構成し、かれらの多くの名言に出会うことのできる著書「マーケットの魔術師」から、投資で成功するための本質とは何かを探ってみたいと思います。

この記事を書いた人
長谷川

長谷川 保

大学卒業後、英バークレイズ銀行傘下の証券会社に入社しロンドンにて勤務。
債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な運用商品に携わる。
現在は自己資金でトレーダーとして活動中。
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目次

投資のバイブル「マーケットの魔術師」とは

2000年代より日本でも翻訳版が出版された「マーケットの魔術師」は、ジャック・D・シュワッガーによる著作で全5巻が出版されています。

当時の日本では、まだヘッジファンドという言葉も一般的ではありませんでしたし、その前身であるシカゴの商品トレーダー(シカゴにはコモディティや金融商品を扱うデリバティブ取引所があり、世界のデリバティブ取引の中心)や株式を買い持ちするだけではなく、空売りも活用するファンドマネージャーの存在はよく知られていませんでした。

そのような時代に、彼らの成功の鍵を解き明かすために、マーケットで名を馳せたトレーダーやファンドマネージャーに長時間に渡る質の高いインタビューを試みた「マーケットの魔術師」は、筆者にとってとても新鮮な著作でした。

この本に登場する「魔術師たち」の数々の名言から読み取ることのできる独自の投資哲学やマーケットに向き合う姿勢は、本邦富裕層投資家とって大いに参考になると思います。

魔術師たちの投資哲学・名言

この本に登場する運用者の投資手法は多種多様ですが、ほとんどすべての人に共通する原則のようなものがあり、それを運用哲学としてご紹介したいと思います。

自己規律を守る

自己規律を守る?当たり前ではないか、と思われるかもしれません。

どんな仕事でも、普段の生活でも必要なことですが、これを実行するのは意外に難しいものです。

投資家は皆、自分がもっとも成功すると考える方法で投資をし、そして自分で定めた計画やルールに忠実に従うべきですが、なかなかできないものです。

なぜなら、投資を実行するのも自分で、それを監督するのも自分自身だからです。

投資の世界では「今回は特別だ」というフレーズがよく聞かれます。

この水準まで行ったら利益を確定する、この水準まで下げたら損切りをすると決めているのに、今回はいつもと違うのではないか、などと考えて保有を継続し、その後ズルズル下げて売り場を逃してしまう、などということを経験した方は多いのではないでしょうか。

快適なものは、しばしば良くない結果をもたらす(ウィリアム・エックハート)

「新マーケットの魔術師」より引用

投資において、見たくない現実をスルーしてしまうのは精神的には楽であり、快適です。

一方で、自己を厳しく律して現実に向き合うことは強いストレスになりますが、良い結果=収益を得るために極めて大事なのではないでしょうか。

厳格なリスク管理

プロの投資家はリスク管理の重要性を必ず強調しますが、個人投資家の場合も同様です。

そして、個人投資家のリスク管理は、マネーマネジメント(資金管理)と言ってもいいのではないでしょうか。

「マーケットの魔術師」に登場する運用者の多くは、利益を出すことよりも、損をしないことに神経を使っています。

うまくいかない時は、損切りをしてポジションを軽くすることで過剰ポジションを解消し、損失の可能性を抑える必要があります。

なぜなら、損切をしないでズルズルと大きなポジションを持ち続け損失を拡大し資金を減らしてしまうと、新たに魅力的な投資先が見つかった時に投資資金が足りないという事態に陥るからです。

ほとんどのトレーダーの勝ちトレード比率は、50~55%。つまり、間違いを犯す確率は非常に高いんだ。そうだとすれば、損失はできる限り小さく、利益を上げられるときはより確実にそれを大きなものにしなければならない。(スティーブ・コーエン)

「マーケットの魔術 [株式編]」より引用

厳格なリスク管理により損失の可能性を抑え、将来の投資資金を確保することは、すべての投資家にとって成功への鍵であると思います。

チャンスを待つ忍耐力

市場環境が自分の投資尺度に合致するまで、忍耐強く投資機会を待つことはとても重要です。

想定した経済環境が訪れる前に投資を開始してしまったり、株式や投資信託の価格が想定した水準になる前に売買してしまったりすることはないでしょうか。

ターゲットとする価格で売買するからこそ、うまくいった時に想定したリターン得ることができるのです。

また、利益を確保したいがために、想定より早く利益を確保してしまうようなことはないでしょうか。

前項でも述べましたが、投資においては、損失を抑えて利益を伸ばすことがとても重要ですから、利益確定においても忍耐強くなければなりません。

そこに金が溜まるまで、私は単に待ちます。その後、そこまで歩いて行って拾い上げるだけです。(ジム・ロジャース)

「マーケットの魔術師」より引用

成功するためには、自らの投資手法により発見した明確な投資機会が訪れるまで待つべきなのです。

自己のスタイルを確立する

ある意味、これが一番重要かもしれません。

どんなに儲かる投資方法を見つけても、自分の性格に合っていなければストレスに耐えられなくなり、やがてその方法を放棄してしまうので長続きしません。

ファンダメンタルズ重視で長期的視点で投資する人に、短期的なテクニカル分析を利用して細かく売買をする方法は不向きでしょう。

結局、途中で自分のやりたい方法に変えてしまいます。

自分にとって納得ができ、落ち着ける手法、つまり自分の性格に合った投資方法を確立することが必要なのです。

面白いと思うのは、成功するトレーダーはだれでも、最終的には自分の性格に合ったトレードスタイルを確立している、ということです。(ランディ・マッケイ)

「新マーケットの魔術師」より引用

魔術師たちの心構え

次に、魔術師たちに共通の成功のために必要な心構えをご紹介します。

ハードワーク

投資には、手間をかけることなく儲けられるというイメージがありますが、皮肉にもこの世界で名を馳せる人は極端なまでにハードワーカーです。

立会日には休暇を取りません。この10年、1日たりともトレードを休んだことはないよ。肺炎にかかったときでもトレードしていた。40度の熱があってもトレードしていたな。(マーク・ミネルヴィニ)

「マーケットの魔術 [株式編]」より引用

筆者も過去にヘッジファンド運用者と仕事をしたことがありますが、彼らは四六時中マーケットのことばかり考えています。

自身の投資手法で利益を出すには、長い時間と重労働が必要であり、何度も壁に当たり、多くの失敗を経験しなければならず、簡単に金持ちにはなれないことを知っているのです。

しかし、彼らにプレッシャーに押しつぶされるような悲壮感はなく、常に生き生きとしていて、マーケットに係わっていることが楽しくてしょうがないように見えました。

僕にとっては宝探しのようなものだよ。[週刊チャートブックを手にして]こいつのどこかに出世株があるんだ。僕はそれを探し続けるのさ。(デビット・ライアン)

「マーケットの魔術師」より引用

独立して行動する

「魔術師たち」は他人の言うことを聞きません。

もちろん、多くの方法を他人から学びますが、意思決定をする際に他人に頼ることはないのです。

通常、他人の意見を聞きたいときは、自信を喪失している時なので、そのような時にポジションをとってもストレスを感じて維持できなくなります。

トレードに関して誰か別の人の意見を聞きたい誘惑にかられたことに気付いたら、それは大抵、ポジションを手仕舞うべきことを示す明確な兆候。(リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ)

「新マーケットの魔術師」より引用

投資家は自信がない時に、他の市場参加者に意見を求めたり、新聞記事を鵜呑みにしたりしますが、多くの人が知っていることや、新聞の見出しになったことはすでに市場に織り込まれているものです。

投資の意思決定をする際は、自分の考えで行動しなければならないのです。

リスク(あるいは間違い、失敗、損失)を恐れるな

投資の世界にフリーランチはありませんので、リターンを得るには相応のリスクを取らなければなりません。

そしてリスクをとれば、すべてがうまくいくわけではないので、間違い、失敗、損失などを免れることはできません。

「魔術師たち」は、リスクをとった結果に起こる、間違い、失敗、損失などを投資の本質的な要素であると認識しています。

最終的に成功するためには、間違いから学ぶことが不可欠だと信じている。全ての間違いはトレード手法を改善する機会となる。失敗をしなければ、何が問題なのか、何が必要なのかわからない。(レイ・ダリオ)

「続マーケットの魔術師」より引用

失敗することへの恐怖が失敗の原因になることもしばしばあります。

例えば、失敗を恐れて絶好の投資機会を逃してしまったり、少しの利益で有望な投資を手仕舞ってしまうケースです。

このビジネスで成功している人は、お金を失うことを恐れない人です。(ステイーブ・ワトソン)

「マーケットの魔術 [株式編]」より引用

失敗や間違い、投資資金を失うことを、資産運用の一部だと自然に思えるようでなければなりません。

まとめ

マーケットの魔術師 まとめ

ファンダメンタルズ重視やテクニカル重視、あるいは、短期投資や長期投資、クウォンツの利用など、投資家は多種多様な市場へのアプローチ方法を用います。

しかしそれとは別に、それらの投資手法の土台となる、成功を目指すどんな投資家にも当てはまる共通の原則のようなものもあるのではないでしょうか。

当コラムでは、本邦富裕層投資家のさらなるステップアップの契機としていただければと思い、「マーケットの魔術師」から投資の本質を示唆する名言をピックアップしご紹介いたしました。

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この記事を書いた人
長谷川

長谷川 保

大学卒業後、英バークレイズ銀行傘下の証券会社に入社しロンドンにて勤務。
債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な運用商品に携わる。
現在は自己資金でトレーダーとして活動中。
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Hasegawa Tamotsuのアバター Hasegawa Tamotsu デリバティブトレーダー

大学卒業後、英バークレイズ銀行傘下の証券会社に入社しロンドンにて勤務。
債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な運用商品に携わる。
現在は自己資金でトレーダーとして活動中。

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