株式投資の税金はいつかかる?確定申告のやり方・節税対策のタイミングを詳しく解説

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株式投資を開始するにあたって、取引段階で税金徴収(源泉徴収と呼びます)をするかしないかを選択したうえで、証券口座の種類を選んでいるはずです。

FXや仮想通貨も課税対象ですが、源泉徴収の制度はありません。

源泉徴収あり特定口座(源泉口座)を選択される方が多く、売却のタイミングで税金が徴収される(源泉徴収される)ので確定申告は必ずしも要しないのですが、確定申告には徴収された税金を取り戻せる特典もあります。 

一方源泉徴収のない口座で生じた利益は、FXや仮想通貨と同様に確定申告と自主的な納税を必要としますが、こちらについても一定所得以下であれば確定申告不要も認められており、また税の軽減策もあります。

この記事からわかること
  • サラリーマンの場合は、源泉徴収されない口座(NISA除く)の所得が20万円を超えたら確定申告が必要
  • 配当や源泉徴収あり特定口座の所得は確定申告不要だが、還付のために申告することもできる
  • 確定申告はオンライン上でもでき、還付口座・納税方法も選択し手続きできる
  • 株式取引で発生した損失は3年間繰り越せるが、発生した翌年の4月までには確定申告するのが節税上重要になる
  • 源泉徴収あり特定口座の所得は口座ごとに申告対象を選択でき、節税にも役立つ
  • 配当についても受入特定口座や取引ごとに申告対象を選択でき、また課税方式選択も節税上重要になる
  • 所得税と住民税で配当の課税方式や配当・源泉口座の申告対象を変更することもでき、節税につながる
  • 税金対策の損出しは12/26までに行うと良い
  • 特定口座の源泉徴収有無は変更できる
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目次

株式投資の税金・確定申告とは?

本来は、毎年1/1~12/31の1年間に生じた全ての所得を計算し、税務署に申告するのが確定申告です。

あわせて所得税・復興特別所得税の納税を行います。

確定申告後、お住まいの市区町村は住民税額を計算し、給与・年金から徴収されるとともに、場合によってはあわせて納付も行います。

ただ株式投資で生じた所得に関しては、投資家によっては違った意味合いも持ちます。

まずいわゆる「NISA」で生じた売却益は、非課税所得という意味で確定申告の対象となりません。

また上場株式の配当や、源泉口座で生じた売却益は、税金が源泉徴収され課税が終了しているため、確定申告の対象としてもしなくてもよいのです。

配当や源泉口座を申告する意義は、本来確定申告義務のない給与所得者(給与以外の所得がない)の申告と似ています。

給与所得者は、医療費控除やふるさと納税といった減税策を受け、すでに源泉徴収された所得税を還付するために確定申告を活用できます。

配当や源泉口座を確定申告することで、例えば別の口座で生じた損失や過去3年間に生じた損失と相殺して徴収された税を減らせる場合があります。

なお確定申告期間は例年2月16日頃3月15日頃ですが、給与所得者の還付申告は各年分に関して翌年以降5年間行うことができます。

株式投資で源泉徴収された所得税の還付申告も制度上は同様に5年間行うことができますが、住民税を考えた場合は極力申告期限を守った方が良い場合もありますので、この点は後述の節税ポイントで詳しく触れます。

株式投資の税金・確定申告

確定申告の意義について簡単に説明しましたが、今度は株式取引を行った場合に、どのようなケースで確定申告義務が発生するのかについて説明します。

株式取引の所得分類だけでなく、特定口座・一般口座など証券口座の種類について理解することが重要です。

申告対象の所得は配当所得・給与所得など10種類に分類される

確定申告を行うにあたっては、まず所得が下記の10種類のうちいずれに該当するか分類する必要があります。

10種類の所得分類
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

株式保有で得られる配当に関しては、配当所得というそのままの名前が該当します。

サラリーマンが勤務先から得るものとしては給与所得や退職所得があります。

株式売却益は譲渡益と呼ばれることがありますが、これは譲渡所得に該当するからです。

株式売却益は原則「株式等の譲渡所得」に該当

ただ実際の確定申告にあたっては、10種類の所得分類からさらに細かく分かれており、株式に関しては「株式等の譲渡所得」に該当します。

さらにこの株式等の譲渡所得は、株式が上場されているものとされていないもので「上場株式等の譲渡所得」と「一般株式等の譲渡所得」に分かれます。

一般株式等の譲渡所得は、たとえば個人商店に近い零細企業や上場していないベンチャー企業が発行する株式を売却した際に得られる所得が該当します。

いわゆる株式投資の売却益は、東京証券取引所などで上場している株式を対象とするのが一般的ですので、上場株式等の譲渡所得に該当すると考えてください。

株式投資の口座は4種類と考える

上場株式の取引口座に関しては、開設の際に3種類の口座から選択し、さらに1つの証券会社に限定されますが非課税投資講座であるNISA口座も開設できます。

3種類の口座+NISAは、課税・非課税、取引時源泉徴収の有無、確定申告の際に必要となる報告書発行の有無によって分かれており、税金・確定申告の観点から自分にあったものを選ぶ必要があります。

1:源泉徴収あり特定口座(源泉口座)

売却時に所得税・復興特別所得税・住民税が源泉徴収される証券口座であり、この口座で生じた売却益は確定申告を必要としません。

2:源泉徴収なし特定口座(簡易口座)

売却時に所得税・復興特別所得税・住民税が徴収されない証券口座ですが、特定口座という意味では源泉徴収ありと共通しています。

この特定口座というのは、投資家にとっては年間取引報告書が発行され、国税庁ホームページを使った確定申告の際には報告書の転記で所得計算がされるというメリットがあります。

なお特定口座年間取引報告書は、証券会社等の金融機関が税務署にも提出していますので、確定申告義務があるにも関わらず簡易口座を申告していないと、申告漏れが発覚しやすいと言えます。

3:一般口座

特定口座年間取引報告書の発行や源泉徴収の特典を受けなくてよいのであれば、特定口座の申し込みは不要で、一般口座での取引となります。

特定口座を保有している場合でも、一般口座を併用して取引を行うことは可能です。

一般口座での取引を確定申告する場合は、自分で売却益の集計を行い譲渡所得を計算する必要があります。

譲渡所得の計算式は下記のとおりです。

株式等の譲渡所得に関する計算式

株式等の譲渡所得 = 売却収入 - (取得費 + 譲渡費用)

取得費は、購入時の株価に証券会社等の金融機関に支払う購入手数料を加えた金額であり、譲渡費用は売却時の手数料です。

例えば上場企業A社の株式100株に関して

  • 取得費:18万8,000円
  • 売却金額:20万円
  • 売却手数料:2,000円

であれば、譲渡所得金額は20万円-(18万8,000円+2,000円)=1万円です。

4:NISA口座

株式譲渡益が非課税となる口座がNISA口座ですが、一般口座と特定口座は複数の金融機関で開設できるのに対し、NISA口座は1社だけの制限があります。

また1年間の投資額にも、120万円の制限(2023年まで、2024年以降は122万円に変更予定)があります。

そして購入時から4年後の年末までに売却しない場合は、引き続きNISAで保有する手続きをとらない限り、特定口座もしくは一般口座に移され売却益は課税されます。

なお老後資金の形成手段として注目されているつみたてNISAは、年間40万円の制限となる代わりに19年後の年末まで非課税での売却を引き延ばせますが、投資対象は金融庁で認められた投資信託のみで、上場企業の個別株式には投資できません。

一般口座・簡易口座の売却益が申告義務の対象となる

確定申告義務の観点から以上4種類の証券口座をまとめると、申告義務の対象となるのは一般口座・簡易口座で発生した譲渡益で、源泉口座やNISA口座で発生した譲渡益に申告義務はありません。

申告義務の対象となる所得がいくらになるかで、確定申告の要不要が決まりますが、サラリーマン・年金受給者とそれ以外で異なってきます。

なおFX・仮想通貨の投資は、その全てが申告義務の対象です。

株式投資とあわせて行っているのであれば、一般口座・簡易口座・FX口座・仮想通貨口座を合算して申告義務対象の所得となります。

サラリーマン・年金受給者は申告義務対象の所得が20万円超なら確定申告が必要

サラリーマンに関しては、本業の勤務先から得た給与・退職所得以外で、申告義務対象の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。

なお年収2,000万円超であれば、その他の所得が20万円以下でも確定申告は必要です。

年金額400万円以下の年金受給者も、年金以外の所得20万円を超えると確定申告が必要です。

年金額で400万円を超えていれば、こちらもその他の所得が20万円以下でも確定申告は必要です。

なお一般口座・簡易口座・FX口座・仮想通貨口座のいずれかで損失が生じている場合、一般口座と簡易口座の間では赤字と黒字の相殺は可能ですが、一般口座+簡易口座・FX口座・仮想通貨口座のいずれかで生じている損失はゼロとみなして集計します。

例えば2021年の1年間において

  • 一般口座の譲渡益:40万円
  • 簡易口座の譲渡損:20万円
  • FXの損失:30万円
  • 仮想通貨の利益:15万円

であれば、40万円-20万円-30万円+15万円=5万円だから申告不要と考えてはいけません。

一般口座+簡易口座は40万円-20万円=20万円と計算できますが、FXの損失は0とみなし、仮想通貨の利益15万円を加えて35万円となるので確定申告が必要です。

また源泉口座やNISA口座の所得はいくらであっても、上記の計算に加える必要はありません。

サラリーマン・年金受給者以外は申告義務対象の所得が48万円以下なら確定申告不要

サラリーマン・年金受給者以外であれば、全ての申告義務対象の所得を合算し、48万円以下であれば確定申告不要です。

48万円という数字は、所得税額を計算するうえで所得から差し引ける金額のうち基礎控除額です。

株式投資の税金がかかるタイミング

株式投資において税金のかかるタイミングについては、配当や源泉口座の譲渡益については証券会社等の金融機関が徴収してくれるので比較的分かりやすいです。

配当や源泉口座の徴収タイミングから説明しますが、簡易口座や一般口座も同様と考えてください。

株式の配当・譲渡益の税率は所得税15.315%・住民税5%

まず株式の配当・譲渡益にかかる税率というのは、いずれも所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%です。

例えば株主総会において決定された額である1万円の期末配当を受け取る際、所得税1,500円・復興特別所得税31円・住民税500円を差し引いた7,969円を実際に受け取ります。

なお受取前に郵送される配当金計算書上は、所得税と復興特別所得税を合わせて所得税として表記されるのが一般的です。

源泉口座では売却時に徴収される

源泉口座において譲渡益が発生した場合、売却した時点で所得税・住民税が徴収され、税引き後の売却収入を受け取ります。

一般口座の説明で例に挙げた上場企業A社の株式100株売却が源泉口座で発生したものとすれば、売却金額20万円・譲渡所得金額1万円でしたので、所得税1,531円・住民税500円を差し引いた19万7,969円を税引き後の売却収入として受け取ります。

売却成立(約定)2営業日後の受渡日で1/4(大発会)~12/30(大納会)が年度となる

上記のような売買を1/1~12/31の間(日本の株式市場および金融機関は12/31~1/3が休場・休業のため、実際には1/4~12/30)で全て集計して、特定口座年間取引報告書が金融機関によって作成されます。

売却注文を行い成立することを株式投資の用語で約定と呼びますが、実際に入出金が行われる受渡は約定の2営業日後です。

1/4~12/30というのは、約定日ではなく受渡日であることに注意してください。

例えば2021年の12/29に売却注文を行い即日成立したとしても、受渡日は年明けとなるため、2021年の所得になるのではなく2022年の所得になります。

株式投資の確定申告の方法・やり方

株式投資の確定申告については、国税庁サイト確定申告書等作成コーナーを利用すると便利です。

執筆時点での最新年分は令和2年分ですので、この年分の申告をベースに操作方法を解説しますが、令和3年分においては特定口座保有投資家に対してスマホ申告を認める、住民税申告不要制度を確定申告書で対応するといった変更が予定されております。

変更点については、執筆時点で判明している情報を元に想定されることを解説します。

特定口座年間取引報告書・配当金計算書など必要書類

ここでは確定申告義務がない方も多いサラリーマンもしくは年金受給者が、確定申告を行う際に用意する書類を列挙します。

準備すべき書類
  • 特定口座年間取引報告書(特定口座保有者)
  • 配当金計算書(源泉口座に受け入れている場合は不要)
  • 源泉徴収票(給与・公的年金がある場合)
  • マイナンバーのわかるカード類
  • 利用者識別番号(マイナンバーカードを使わず電子申告を行う場合)

一般口座保有であれば売買取引の明細を別途用意する必要がありますが、確定申告の方法に手慣れていないとハードルが高いと言えます。

なお源泉徴収票・配当金計算書・特定口座年間取引報告書は、平成30年分まで確定申告書に添付して提出が必要でしたが、令和元年分以降は添付が不要となりました。

また特定口座年間取引報告書は、XMLデータを提供する金融機関もあります。

XMLデータを取り込む機能が確定申告書作成コーナーにありますので、このファイルをお持ちであれば書面の用意は不要です。

利用者識別番号の発行に関しては、本人確認書類を持参したうえで税務署で行う必要があります。

株式譲渡益・配当のスマホ申告も可能になる確定申告書作成コーナー

確定申告作成コーナーには、パソコン版とスマホ版があります。

スマホ版は所得が給与・一時・雑所得の3種類ある人と対象者が限定されており、仮想通貨投資家のサラリーマン・年金受給者であれば使えますが、株式投資家は使えませんでした。

令和3年分からは、特定口座年間取引報告書に記載される譲渡益と配当に限定されますが、スマホ申告が可能になります。

繰越損失を入れることも可能になります。

一般口座の譲渡所得や、特定口座受入れでない配当(郵便為替・銀行振込など)はパソコン版でのみの入力になります。

確定申告書作成コーナーで作成する申告書等は4種類ありますが、「所得税」を選択します。

源泉徴収票の転記

株式投資家でも多くの方は、メインの収入として「総合課税の所得」にある給与所得、もしくは雑所得の公的年金等があるはずです。

これらの所得を入力するには、源泉徴収票が必要です。

給与・公的年金等いずれにしろ、基本的には源泉徴収票の転記で済みます(画像は給与所得)。

特定口座年間取引報告書の転記

特定口座においては株式取引だけでなく、株式数比例配分方式を選択した上場株配当の受け入れもあるため、配当の情報も入力します。

配当の入力にあたってはまず課税方式選択を行いますが、「総合課税」「申告分離課税」「配当等がない」の3種類から選択してください。

総合課税は給与所得や雑所得等と合算して所得税を再計算する方式であり、申告分離課税は所得税率を変えずに株式取引で発生した譲渡損失や繰越損失と損益通算する方式です。

どちらの方式にするかで税額が変わりますので、後述する節税のポイントで詳しく解説します。

次の「2 株式等の売却・配当・利子等の入力」において、緑ボタン「『特定口座年間取引報告書』の内容を入力する」を選択してください。

次の「金融・証券税制(特定口座)」画面で2種類の入力方法が提示されますが、証券会社からXMLデータが発行されていれば取り込むだけで入力完了です。

ただすべての証券会社で対応しているわけではないので、今回の事例では「書面で交付された特定口座年間取引報告書の入力」を選択します。

「1.口座情報の入力」は、画面のとおり年間取引報告書の右上を参照して、源泉徴収の有無・勘定の種類を転記してください。

その下の欄は「譲渡損益」「配当等」のうち申告するものを選択します。

「2.『譲渡に係る年間取引損益及び源泉徴収税額等』の入力」も、年間取引報告書の該当欄をそのまま転記します。

源泉徴収ありの場合は、源泉徴収税額(所得税)・株式等譲渡所得割額(住民税)の欄も忘れずに転記してください。

源泉徴収なしであれば、税額の欄はありません。

「3.『配当等の額及び源泉徴収税額等』の入力」については、全ての数値を入れる必要は無く、記入すべき欄を転記すれば良いです。

「4.『金融商品取引業者等』の入力」上段は、右側の「証券」「銀行」などを選択の上で、金融機関の名前を入力します。

下段は支店名があれば右側選択肢を「支店」として支店名を入れますが、ネット証券は「本店」だけ選択すればよいです。

一般口座の申告は明細書作成が必要

一般口座に関しては、「金融・証券税制(入力項目の選択)」画面の緑ボタン「『特定口座年間取引報告書』の内容を入力する」の下にある「株式等の『取引明細』などの内容を入力する方」に進んでください。

一般口座では、このように明細を自分で入力しなければなりません。

特定の証券会社で同じ銘柄を何回かに分けて購入していると、取得費の金額に気をつける必要があります。

この計算がご自分でできないようでしたら、特定口座で取引する方が無難でしょう。

配当金計算書の転記

源泉口座に受け入れなかった配当に関しては、「『配当等の支払通知書』などの内容を入力する」の緑ボタンをクリックします。

「1 上場株式等の配当等に関する事項」の「入力する」ボタンをクリックします。

配当金計算書は画像のような様式が一般的であり、配当金額・所得税額・住民税額が転記対象です。

数値以外の項目としては、個別株の配当に関して言えば、(1)イの支払通知書種類は「1 上場株式配当等の支払通知書」を選択します。

(1)ロの外貨建割合・非株式割合は両者とも「1 記載なし」を選択し、(2)配当等の種類は「1 上場株式等の配当等」を選択します。

(6)~(8)の各欄は、配当金計算書から転記します。

以上の点を間違えると、所得税額計算が正しく行われません。

一方(3)~(5)の文字で入力する部分はあまり神経質になる必要はありません。

(3)種目は「個別株配当」、(4)銘柄等は銘柄名、(5)は配当金計算書に記載された信託銀行等の名称を入力します。

繰越損失の入力も忘れないこと

「金融・証券税制(入力項目の選択)」画面において、令和元年分(前年分)の申告で上場株式等に係る譲渡損失の金額を繰り越した方の欄は、「はい」「いいえ」を必ず選んでください。

ここでは「はい」を選び、緑ボタン「『繰り越された譲渡損失』を入力する」に進みます

画像は令和2年分の確定申告における事例ですが、3年前(平成29年分)・2年前(平成30年分)・1年前(令和元年分)に発生した損失を分けて入力します。

一般口座・簡易口座の譲渡益にかかる住民税の徴収方法を選択

一般口座・簡易口座で発生した譲渡益からは所得税・住民税とも源泉徴収されないので、確定申告した所得を元に6月以降支払う住民税のことも考える必要があります。

確定申告において2通りの徴収方法が選べます。

株取引していることを会社に知られたくない場合は、まず「住民税・事業税に関する事項」をクリックします。

次に、「1.給与・公的年金等以外の所得がある方の入力項目」に関して「自分で納付」を選択します。

令和3年分以降に新設される、住民税における「全部の申告不要」

令和3年分以降の確定申告では、住民税に関する事項で「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄が追加されます。

画像は確定申告書の新様式案で、対応するWeb画面は執筆時点では存在していません(2022年1月4日公開予定)。

これは所得税においては還付のために申告した配当・源泉口座の譲渡所得を、住民税においては申告しなかったことにする措置なのですが、節税の観点からこのようにした方がいいケースについては後述します。

なお自営業者や専業トレーダーが支払う国民健康保険税(東京23区などは国民健康保険料ですが、以下国民健康保険税・国保税で統一)に関しては、住民税の課税方式に完全に連動します。

所得税還付の場合は銀行口座を指定する

源泉口座の所得をわざわざ申告するような方は、所得税の還付が目的でしょうから、計算結果確認で還付金額をきちんと確認しておきましょう。

還付申告の場合は、振込先口座の指定が必要です。

ゆうちょ銀行の場合は、口座番号のみ入力すれば済みます。

納付の場合は納付方法を選択する

一方で一般口座・簡易口座で投資されている株式投資家の方は、所得税を納める方もいらっしゃるはずです。

この場合、計算結果確認画面では納付する金額が表示されます。

30万円以下で現金納付できるのであれば、「納付用QRコードを作成する」にチェックしコンビニQR納付を選択すると、QRコードまで印刷できるので便利です。

30万円を超えているような場合は、今後のことも考えて振替納税を選択しておくと良いです。

ただし初回の振替納税前には、振替依頼書を作成し提出する必要があります。

振替納税は4月20日頃の引き落としとなるので、お金を用意する時間を1カ月程度とれるメリットもあります。

株式投資の税金の計算方法

株式投資の配当・譲渡益にかかる所得税・住民税率は合計20.315%となることはすでに説明しておりますが、確定申告することによって実際の負担率が変動することがあります。

配当所得を総合課税で申告する場合は住民税率7.2~8.6%となる

配当の課税方式は「総合課税」と「申告分離課税」の2種類ありますが、総合課税を選択した場合は源泉徴収時から税率が必ずと言っていいほど変わります。

この変わり方を理解することが、節税にもつながってきます。

まず税率の決まり方が比較的簡単な住民税から説明すると、総合課税の標準税率は10%です(一部自治体は若干増減あり)。

これだけを考えると単純に倍になりますが、総合課税で申告する場合は配当控除という税額の軽減が認められています。

配当控除による税軽減額は個別株配当所得額の原則2.8%ですが、課税所得の合計額が1,000万円を超えていると1/2(1.4%)に減ります。

このため個別株配当に対する住民税負担率は原則7.2%、高所得者(課税所得金額が1,000万円超の部分は最大8.6%まで下がりますが、それでも5%よりは高いです。

確定申告時の住民税に関する事項で「全部の申告不要」欄があるのは、この負担率上昇を抑えるのが1つの目的です。

配当所得を総合課税で申告する場合は所得税率-5.105%~40.84%となる

一方で復興特別所得税を含む所得税において個別株の配当控除率は10.21%(各種投資・不動産譲渡の所得を含めた課税所得金額が1,000万円超の部分は1/2の5.105%と高いのですが、所得税率が5.105%~45.945%と幅があるため、所得税負担率は総合課税の課税所得(課税総所得金額)に応じて下記のようになります。

課税総所得金額所得税率配当控除率実質負担率
195万円以下5.105%5.105%~10.21%-5.105%~0%
195万円超330万円以下10.21%5.105%~10.21%0%~5.105%
330万円超695万円以下20.42%5.105%~10.21%10.21%~15.315%
695万円超900万円以下23.483%5.105%~10.21%13.273%~18.378%
900万円超1,800万円以下33.693%5.105%~10.21%23.483%~28.588%
1,800万円超4,500万円以下40.84%5.105%35.735%
4,500万円超45.945%5.105%40.84%
課税所得と実質負担率の関係

専業トレーダーの税負担率は所得控除分だけ下がる

サラリーマンの場合、年末調整で扶養控除や保険料控除と言ったいわゆる所得控除の申告を行います。

これは扶養などの状況を加味して所得税負担を下げ、年末の還付につなげるのが目的です。

専業トレーダーの場合、所得控除は給与所得から差し引かないかわりに、譲渡所得や配当所得から差し引けます。

このため、所得税・住民税の負担率を20.315%から下げることができます。

専業トレーダーの確定申告例(源泉口座の数値はいずれも令和2年分の譲渡所得の額、申告事例ア)
  • 源泉口座A:220万円(源泉徴収税額:33万6,930円)
  • 源泉口座B:マイナス20万円(源泉徴収税額:0円)
  • 源泉口座C:70万円(源泉徴収税額:10万7,205円)
  • 前年分以前の繰越損失:10万円
  • 上記以外の所得・損失は無し
  • 所得控除:基礎控除48万円+社会保険料控除30万円=78万円

上記の専業トレーダーの事例をもとに、確定申告書を作成してみると画像のとおりになります。

まずは申告書第三表から、年間の所得税額計算結果まで追ってみます。

  • 上場株式の譲渡(70)=口座A220万円-口座B20万円+口座C70万円=270万円
  • 所得から差し引かれる金額(29)=所得控除78万円
  • 課税される所得金額(69)(70)対応分(78)=令和2年分譲渡所得(70)270万円-繰越損失(92)10万円-所得控除(29)78万円=182万円
  • 税金の計算(78)対応分(86)=(78)182万円×所得税率15%=27.3万円

復興特別所得税を除いた所得税額27.3万円は、令和2年分の所得270万円や繰越控除後の260万円に対する15%ではなく、所得控除78万円を差し引いた後の182万円に対する15%に軽減されます。

サラリーマンの場合、所得控除は年末調整時に給与所得から差し引かれ、株式譲渡益から差し引かれるケースは稀ですので、この点が専業トレーダーと異なります。

続いて第一表で復興特別所得税の計算、および還付額の確認ができます。

所得税に復興特別所得税を上乗せした金額(45)=(43)27.3万円+(44)5,733円(所得税×2.1%)=27万8,733円です。

源泉口座から徴収済みの源泉徴収税額(48)44万4,135円(=口座A33万6,930円+口座C10万7,205円)との差額をとると還付される税金(52)16万5,402円となります。

株式投資の節税のコツ

これまで説明してきた確定申告の方法や税金計算の仕組みから、節税のコツを理解していきましょう。

株式投資の確定申告に関しては申告の選択肢が多岐にわたるため、申告前の税金対策以外に申告の段階で考えるべきことも多数あります。

いわゆる損出し(含み損株式の売却)を年末までに行う

この節税策は確定申告前の年末までに行うべきですが、含み損を抱えた株式を売却することにより、課税対象の所得を減らすことが可能です。

含み損と含み益

譲渡益だけでなく、申告分離課税を選択して確定申告した配当と損益通算することも可能です。

注意点は、実際の売却代金入金が大納会(原則12/30、早い年だと12/28)に間に合わないと意味が無いということです。

締めとなる約定日は年によって異なりますが、12/28の2営業日前にあたる12/26を損出しの期限と考えれば手遅れになることは無いです。

損失発生年の翌年(遅くとも4月まで)に確定申告を行う

例えば令和3年(2021年)において証券口座全ての譲渡損益を足し合わせて損失が出る場合、その損失は翌年以降最大3年間の繰越ができ、令和6年分までに生じた譲渡益や分離課税の配当と相殺(控除)することが可能です。

損失に関しては3月15日頃までの申告義務まではないため、黒字が発生した年の翌年に損失発生年からまとめて複数年分を確定申告するケースも見受けられます。

このような確定申告は受理され所得税の還付金を得られますが、住民税まで考えた節税の観点からは損をしています。

住民税における繰越損失の控除は、原則として申告期限の3月15日まで、遅くとも住民税額通知書の送達日までに申告することが要件となっております。

確定申告を受けて住民税額を決定し送達するタイミングは、お住まいの市区町村により異なりますが、比較的早いサラリーマンの場合は5月中旬です。

損失発生の申告は還付も納付も生じないゼロ申告となる場合もありますが、できれば3月15日までの確定申告期間、遅くとも4月までには申告を終わらせておくべきと言えます。

配当の課税方式(総合・申告分離・申告不要)を比較し所得税のシミュレーションを行う

配当所得の課税方式はそのすべてを総合課税とするか、申告分離課税とするか選択できますが、どちらにするかで所得税・住民税額は異なります。

また源泉口座受け入れの配当は口座ごと、それ以外(郵便為替・口座振込など)の配当は1回の入金ごとに申告対象とするかしないかを選択できます。

なお源泉口座で生じた譲渡損失を確定申告の対象とする場合、同じ口座で受け入れた配当は必ず申告対象としなければなりませんが、総合課税・申告分離課税どちらにしても構いません。

確定申告書作成コーナーにおいて、配当の課税方式を選択する欄がありました。

申告対象の選別は事前に行ってからの入力となりますが、総合課税と申告分離課税に関しては原則両者とも選択し、所得税額の比較シミュレーションを行った方が良いです。

総合課税→申告分離課税の切り替えは画面を戻して選択し直せばよいのですが、逆は選択し直した後に配当控除の再計算が必要な点は注意してください。

ただし総合課税の所得税負担率は、課税総所得金額900万円以下では源泉徴収税率の15.315%を下回ることが多いのですが、900万円を超えると源泉徴収税率を上回り確実に損をしてしまいます。

また課税総所得金額695万円超900万円以下でも、各種投資や不動産譲渡の所得をあわせて1,000万円を超えてしまうと、源泉徴収税率の15.315%を上回るケースがあります。

総合課税が有利になるケース(申告事例イ)と不利になるケース(申告事例ウ)を確かめてみます。

申告事例イ:

  • 年末調整済の課税給与所得金額:800万円(年収1,200万円相当)
  • 総合課税選択の個別株配当:10万円(源泉徴収額1万5,315円)

このケースでは課税総所得金額(30)が900万円以下であり、配当控除(32)1万円の軽減効果もあるため、(52)1,958円の還付が生じています。

申告事例ウ:

  • 年末調整済の課税給与所得:1,000万円(年収1,400万円相当)
  • 総合課税選択の個別株配当:10万円(源泉徴収額1万5,315円)

このケースでは課税総所得金額(30)が1,000万円を超えており、配当控除(32)も5,000円と1/2になることも影響して、(51)1万3,300円の納付となってしまいます。

配当所得10万円は確定申告不要とした方が有利なくらいですが、例えば譲渡損失もしくは前年分までの繰越損失が10万円あるような状況であれば、申告分離課税を選択して配当を申告することにより、源泉徴収税額1万5,315円の全額が還付されます。

株式取引での譲渡損がないのであれば、申告分離課税で申告しても税の軽減はありません。

税額軽減の観点から明らかに意味のない課税方式までシミュレーションする意味はありませんが、選択した課税方式によって次に説明する住民税に関する事項の記載が変わってくることに気をつけてください。

配当の課税方式が住民税・国保税に与える影響も考慮する

総合課税の場合は申告所得が75万円(金額はあくまでも目安です)以下の配当所得しか無い場合を除き、住民税においては全部の申告不要を○した方が節税になります。

ただしこの後のセクションで説明する源泉口座の譲渡所得もセットで申告不要となるため、源泉口座の譲渡所得も考慮して○をしてください。

75万円以下の配当所得であれば住民税も総合課税とし、全部の申告不要に○をしない方がいい理由は次の計算のように、配当控除等により実質負担率が源泉徴収分の住民税率5%より下がるからです。

住民税においても総合課税が有利なケース(申告事例エ)
  • 所得控除:基礎控除43万円+社会保険料控除15万円(住民税の基礎控除額は所得税より5万円少ない)とします。
  • 個別株の配当所得額:75万円とします。
  • 住民税の課税所得:配当所得75万円-所得控除58万円=17万円
  • 住民税の配当控除額:配当所得75万円×控除率2.8%=2.1万円
  • 住民税所得割額:課税所得17万円×総合課税の住民税率10%<配当控除2.1万円より0円(所得割は所得に応じた税額)
  • 住民税均等割額:5,000円(合計所得が一定以下の住民税非課税者を除き誰でも等しく負担する額)
  • 国保税所得割額:(配当所得75万円-住民税基礎控除43万円)×10%=3.2万円(国保の計算上、基礎控除以外の所得控除や配当控除は差し引かない。税率10%は平均的税率であり実際は自治体や年齢により増減する)
  • 配当所得に対する住民税・国保税負担率:(5,000円+3.2万円)÷78万円<源泉徴収分の住民税率5%

申告分離課税の場合は、職場の社会保険に加入しているサラリーマンの場合は、申告不要に○をすると住民税において譲渡損と配当の損益通算(つまり税軽減)が行われなくなるので、○する必要はありません。

一方国民健康保険の加入者であれば、相殺しきれなかった配当額 > 相殺損失×2になるのであれば、申告不要に○をしない方が良いです。

これは、

国保税の増加額 (=相殺しきれなかった配当×10%程度) > 住民税の軽減額 (=相殺損失×5%)

となってしまうからです。  

源泉口座の申告対象を選別する

源泉口座で生じた譲渡所得に関しては、総合課税の対象にはなりませんが、申告分離課税で申告の対象とするか申告不要とするかは選択でき、この点は配当所得と共通している部分があります。

申告対象としてある源泉口座の例(数値はいずれも譲渡所得の額、申告事例アと同じ)
  • 源泉口座A:220万円(源泉徴収税額:33万6,930円、住民税徴収額:11万円)
  • 源泉口座B:マイナス20万円(源泉徴収税額:0円)
  • 源泉口座C:70万円(源泉徴収税額:10万7,205円、住民税徴収額:3.5万円)
  • 前年分以前の繰越損失:10万円
  • 上記以外の所得・損失は無し
  • 所得控除:基礎控除48万円+社会保険料控除30万円=78万円

源泉口座A・B・C全て申告すると、源泉口座の譲渡所得金額(繰越控除後)は220万円-20万円+70万円-10万円=260万円であり、課税譲渡所得金額は78万円を引いて182万円です。

所得税及び復興特別所得税の額は182万円×15.315%=27万8,733円ですので、源泉徴収税額33万6,930円+10万7,205円=4万4.135円との差額16万5,402円が還付されます。

住民税も、徴収額14.5万円-182万円×住民税率5%=5.4万円から均等割額5,000円を差し引いた4.9万円が還付されます。

しかし国保税率を10%とすれば、国保税所得割額の年額は(260万円-43万円)×10%=21.7万円ですので、還付額を上回る支払になってしまいます。

Cを申告しなければ、課税譲渡所得金額は70万円下がって112万円となりますが、所得税還付額は33万6,930円-112万円×15.315%=16万5,402円と変わらず、住民税も同様です。

これはAの所得220万円からBの損失20万円・繰越控除10万円・所得控除78万円の計108万円が全て差し引けるからです。

一方で国保税所得割額の年額は(190万円-43万円)×10%=14.7万円と還付額より下がるため、Cは申告対象としない方がいえます。

全部を確定申告AとBを申告
源泉口座A申告する申告する
源泉口座B申告する申告する
源泉口座C申告する申告しない
所得税還付金16万5,402円16万5,402円
住民税還付金4.9万円4.9万円
国保税所得割21.7万円14.7万円
負担増減額2,598円負担増6万7,402円還付
確定申告対象の選別による負担の違い

申告対象の選別は所得制限つき減税措置に影響する

配当所得や源泉口座の譲渡所得は、基礎控除・配偶者控除・住宅ローン控除といった所得制限のついた減税措置にも影響する点に気をつけてください。

例えば住宅ローン控除は合計所得金額3,000万円を超える年は受けられないのですが、合計所得金額は確定申告の対象とした配当や源泉口座の譲渡所得は含まれますが、申告対象から外した所得は含まれません。

同じ年分の譲渡損失と通算するために申告する所得は、相殺しきれなかった分だけ合計所得金額が増えますが、総合課税の配当所得や繰越損失と相殺する所得は合計所得金額を増額させる点に注意してください。

株式投資の税金・確定申告のよくある質問

株式投資の税金や確定申告でよくある質問について、3点触れます。

思い込みで予想外の事態にならないよう、3点の疑問に関して結論だけでなくその理屈もよく理解してください。

特定口座において源泉徴収の有無を切り替えることはできるのか?

同じ特定口座で生じた譲渡所得であっても源泉徴収の有無によって、確定申告義務の生じ方(申告不要の範囲)、国民健康保険税に与える影響などが異なることがご理解いただけたはずです。

これをふまえて、ご自身の開設している特定口座に関して源泉徴収の有無を変更したいと考えた場合、それは可能でしょうか?

可能ではあるのですが、変えられるタイミングをきちんと理解しておく必要があります。

受渡日ベースで年初から取引を行っていない特定口座に関しては、すぐに切り替えが可能です。

一方取引をしていた場合は、申し込みはすぐに受け付ける金融機関もありますが、その場合でも翌年の受渡から切り替え可能です。

税額を減らすために確定申告のやり直し(課税方式の変更)はできるのか?

例えば配当所得の課税方式を申告分離課税にして確定申告を行ったが、後から総合課税で再計算した結果こちらのほうが所得税額が少なくなる・還付金額が多くなると発覚した場合、確定申告をやり直して再提出することはできるのでしょうか?

この点に関しては、再提出が3月15日までの期限内になるか、もしくは期限後になるかで変わります。

再提出が期限内であれば、訂正申告という形で最初の確定申告書と同じ様式で提出できますが、訂正申告は課税方式の変更も認められます。

ただし訂正前の申告で還付金が生じており、その還付処理が完了している場合は期限前でも訂正を認めない税務署もあります。

期限後に再提出する場合は訂正申告ではなく更正の請求という手続き(還付処理完了後の再提出も同様)になるのですが、この手続きは計算間違いを正すことや所得控除の漏れをなくすことを認めており、課税方式を有利なものにすることは認めていません。

ただし税務署によっては更正の嘆願という形で課税方式の変更を認めているところもありますので、管轄の税務署に問い合わせてみる価値はあります。

住民税申告不要の自治体への申出が今後も必要なケースはあるのか?

住民税に関する事項の「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄は、令和2年分までは確定申告書とは別にお住まいの市区町村に申告不要の申出をすることで可能だった節税方法です。

ただ住民税において申告不要にするかは、源泉口座ごと、もしくは配当1回の受け取りごとに選択できる制度です。

全部でなく一部の申告不要、もしくは確定申告と申告パターンを変えるのであれば、従来通りお住まいの市区町村に申告不要の申出を行います。

申告事例アに対する再検討(所得税と住民税で申告対象を変える)
  • 源泉口座A:220万円(住民税徴収額:11万円)
  • 源泉口座B:マイナス20万円(住民税徴収額:0円)
  • 源泉口座C:70万円(住民税徴収額:3.5万円)
  • 前年分以前の繰越損失:10万円
  • 所得控除:基礎控除43万円+社会保険料控除30万円=73万円

例えば専業トレーダーの申告事例アにおいて、全部の申告不要を選択すれば、国保税所得割額もゼロになるのでこれでも節税にはなります。

ただ住民税申告不要にすると、源泉口座AとCの両者で徴収された住民税14.5万円は軽減されません。

源泉口座Cを確定申告において申告不要にすると国保税所得割額が21.7万円から14.7万円に下がることは説明しましたが、住民税においては確定申告とは逆にAを申告不要とし、Cを申告対象とすることもできます。

Aを申告対象から外すと、譲渡所得金額70万円-20万円-10万円=40万円<住民税の基礎控除額43万円となり、Cから徴収された3.5万円から均等割額5,000円を相殺した3万円だけは還付されます。

確定申告と同一全部の申告不要Cを申告・Aは不要
源泉口座A申告する申告しない申告しない
源泉口座B申告する申告しない申告する
源泉口座C申告しない申告しない申告する
所得税還付金16万5,402円16万5,402円16万5,402円
住民税還付金4.9万円0円3万円
国保税所得割14.7万円0円0円
負担増減額6万7,402円還付16万5,402円還付19万5,402円還付
住民税の申告対象選別による負担の違い

さらに国保税所得割額もゼロになりますが、このように申告対象を変えるパターンは、従来通り市区町村への申出を別途行う必要はあります。

株式投資の税金・確定申告のまとめ

一般口座や簡易口座で株式取引をされている投資家は納税の心配がありますが、20万円以下の所得であれば最大3万円程度の所得税は払わなくても済みますし、損失が生じた場合は確定申告して繰り越すことで翌年以降の税負担を下げることもできます。

一方で源泉口座で取引していれば確定申告の負担から逃れることもできますが、確定申告により損失の繰越を行ったり、損益通算を行うことで所得税の還付金を得ることができてお得です。

この記事のまとめ
  • サラリーマンの場合は、一般口座・簡易口座等申告義務対象の所得が20万円を超えたら確定申告が必要
  • 源泉口座やNISA口座の所得はいくらであっても確定申告は不要だが、源泉口座は還付のために申告も可能
  • 約定時点ではなく、受渡まで完了した時点で税金は発生する
  • 総合課税の所得から引ききれない所得控除は、株式譲渡所得からも差し引け税負担が2割より減る
  • 確定申告はオンライン上でもでき、還付口座・納税方法も選択し手続きできる
  • 株式取引で発生した損失は3年間繰り越せるが、発生した翌年の4月までには確定申告するのが節税上重要になる
  • 源泉口座の所得は口座ごとに申告対象を選択でき、節税にも役立つ
  • 配当についても受入特定口座や取引ごとに申告対象を選択でき、また課税方式選択も節税上重要になる
  • 所得税と住民税で配当の課税方式や配当・源泉口座の申告対象を変更することもでき、節税につながる
  • 申告対象とした所得の分だけ合計所得金額は増加し、減税策にも影響を与える
  • 税金対策の損出しは12/26までに行うと良い
  • 特定口座の源泉徴収有無は年初の取引前までなら変更できる
  • 投資を始めるならLINE証券が使いやすい

確定申告もWeb上・スマホ上でできるようになってきており、手書きによる負担感はなくなっています。

一般口座の取引を集計して確定申告を行うのは面倒でもありますが、確定申告を簡潔化させるためにも特定口座制度があるのです。

節税に関しても年末までに行う税金対策に頭を使いがちですが、配当を申告する場合や源泉口座がある場合は確定申告時に考えるべきことも多いので、制度を十分に理解しておきたいものです。

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この記事を書いた人

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