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フィスコ統合報告書レポート

Vol.3

統合思考(Integrated thinking)とは?

IIRC(国際統合報告評議会)は、統合報告書を作成する際に考慮すべき原則や、開示すべき情報の内容に関して、国際統合報告フレームワークを日本語を含む複数言語にて2013年12月に発行しています。同フレームワークでは、統合報告のプロセスが、組織内部の縦割りを取り除く「統合思考」に繋がることを意図しています。

さらに、

  • 「統合思考」と統合報告の循環によって、効率的かつ生産的な資本の配分がもたらされ、それによって金融安定化と持続可能性に繋がる
  • 「統合思考」は短、中、長期の価値創造を考慮した、統合的な意思決定と行動に繋がる
  • 「統合思考」が組織活動に浸透することによって、より自然な形で、マネジメントにおける報告、分析及び意思決定において、情報の結合性が実現される

としています。

また、「PREPARING AN INTEGRATED REPORT: A STARTER’S GUIDE (UPDATED)」ではさらに、

「統合思考」は、もっぱら財務諸表に焦点を当てた短期的思考から、組織のさまざまな結果(価値創造)を短、中、長期的に考えることが本質であり、組織における「統合思考」は、事業戦略において利用し影響を与える財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本という「6つの資本」、組織が直面するリスクと機会、見通しと日々の意思決定を踏まえ、それらの統合的なマネジメントに繋がる。また「統合思考」は、組織に対する重大なリスクや、利用する資本の将来の利用可能性に与える影響を顕在化させ、将来志向や持続可能性を向上させる、としています。

さらに「統合思考」のメリットとして、

  • 資本に対するポジティブな影響を増大させ、ネガティブな影響を最小化するための情報に基づく戦略策定
  • 幅広い見地からの事業の現実を反映したリスクの把握
  • 機会の掌握強化
  • ビジネスプロセスの見える化とプロセスギャップの顕在化
  • 資本の配分、活用、取り組みの解説
  • ガバナンスの情報
  • 環境・社会への取り組みの情報
  • 業績と経営層報酬の関係を明らかにする
  • ビジネスパフォーマンスや見通し(規制、セグメント開示、サプライチェーン)における重要な測定基準についての考え方、レポーティングについての有効なヒントになる
  • 非財務資産がどのように会社特有の要素を創造し、結果どのように競争力強化につながっているかを経営層がハイライトできる
  • 特にIPO予備軍であれば、成長の指針を進化させる
  • どのように国際基準の透明性を確立しているかを見込み顧客に示す
  • 社会との対話と信頼を向上

に繋がるとしています。

以上、参考になれば幸いです。

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