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フィスコ統合報告書レポート

Vol.10

TCI Fund Management Limited(アクティビスト)最新動向

TCI は2003年に設立された英国の投資ファンドです。運用資金は約2兆円相当、また収益の一部は慈善事業の基金に寄付しています。同ファンドは、経営陣との「建設的な対話」による価値創造を理念に掲げていて、CO2排出量を抑制しながら環境に配慮した投資を行うことを宣言しています。一方、世界でも最も著名なアクティビストのひとつでもあり、日本では電源開発(Jパワー)、日本たばこ産業への増配要求などの株主提案で、かつて注目されたファンドです。

同ファンドは、投資先企業において、CO2やその他温室効果ガス削減について、適確かつ適時に、TCFD(国際機関である金融安定理事会(FSB)により設置された民間主導の気候関連財務開示タスクフォース)が提言する情報開示のあり方に基づいて、排出量原単位目標や削減総量目標を公表するよう求めていくとしています。具体的には、今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源 による排出量と吸収源による除去量との間の均衡(世界全体でのカーボンニュ ートラル)を達成することを目指すパリ協定に基づき、下記情報開示を期待しています。

  1. CO2排出量を削減するためのビジネス・プロセスの変更
  2. ビル、工場における効率的なエネルギー・マネジメントの導入
  3. 低炭素エネルギーの導入
  4. 電気自動車等の脱炭素化物流手段の使用
  5. 植林活動等によるカーボン・オフセット
  6. 脱炭素化サプライチェーンの確保
  7. 業界における持続可能な脱炭素化推進のための当局への働きかけ

さらに、気候変動に関する投資先企業の取締役会へのプレッシャーを高めるため、CO2排出量を開示しない企業の株主総会での取締役選任議案に反対票を投じること、ならびに、アニュアルレポートや財務諸表において重大な気候変動リスクを開示しない企業の監査役に対しても反対票を投じる、と宣言しています。

以上、参考になれば幸いです。

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