エマージング債券とは?特徴・メリットやリスクを専門家が徹底解説!

エマージング債
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バブル崩壊以降の日本経済は、低成長、デフレから抜け出すことができず、結果として極めて低い金利水準が続いています。

予定していた利回りを確保できない投資家は、国外の市場に投資機会を求めざるを得ませんでした。

その中のひとつがエマージング債券であり、現在ではグローバルに資産を分散投資する投資家にとって、欠かせない資産クラスとなっています。

このコラムでは、エマージング市場に特有のリスクを適切に認識して、エマージング債券の魅力である高いリターンを享受していただくためのエッセンスをご説明します。

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この記事を書いた人
長谷川

長谷川 保

大学卒業後、英バークレイズ銀行傘下の証券会社に入社しロンドンにて勤務。
債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な運用商品に携わる。
現在は自己資金でトレーダーとして活動中。
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目次

エマージング債券とは

エマージング債券とは、新興国の政府、公的機関、企業などが発行する債券です。

先進国で発行される債券よりも高い利回りが得られることが魅力ですが、高いリターンを得るためには、投資家は相応のリスクを負う必要があります。

エマージング債券

エマージング(=新興国)の定義

エマージング(=新興国)とは、一般にラテンアメリカ、東南アジア、アフリカ、東欧などの地域やインド、アフリカなどの今後高い成長が期待できる国を指します。

エマージングの定義は一定ではありませんが、目安として、世界銀行が発表する一人当たりのGNIを参考にする方法があります。

世界銀行では、一人当たりのGNIの水準により各国を高所得国、上位中所得国、下位中所得国、低所得国に分類しています。

このうち高所得国以外の国(一人当たりのGNIが10,570ドル以下の国(2019年))を新興国とする考え方があり、新興国をイメージする一つの目安となるのではないでしょうか。

今や世界第2位の経済大国となった中国も、一人当たりのGNIで見ると上位中所得国に位置し、エマージング(=新興国)に分類されるのです。

エマージングの定義

エマージング債券の発行体

エマージング債券の発行体は、新興国に分類される国の政府、公共機関、企業になりますが、各国政府が発行する国債が圧倒的に多くなります。

主要なエマージング債券のインデックスに採用される国は50ヵ国前後にもなり、それ以外に投資可能な国を含めると、相当多くの国が投資対象となります。

近年では、グローバル化、世界的な金余りで中国籍の企業などが発行する社債も増えており、発行体の多様化が進んでいます。

以前には、経済規模や財政状況などから債券による資金調達ができなかった中東やアフリカのフロンティアと言われる国々も、債券を発行するようになりました。

エマージング債券の種類

エマージング債券は、外貨建て債券(主に米ドル)と現地通貨建て債券の2つに分類されますが、この2種類の債券の違いを理解することがとても重要です。

外貨建て債券と現地通貨建て債券

外貨建て債券(主に米ドル): 米国債利回り+信用スプレッド+米ドル変動リスク

現地通貨建て債券 : エマージング各国の債券利回り+エマージング通貨の変動リスク

以前は外貨建て債券が主流で、現地通貨建て債券の市場規模は限定的でした。

その当時のエマージング諸国は、経常収支の大幅赤字や高いインフレ率などから通貨が安定せず、外国投資家が通貨リスクを嫌ったため、自国通貨での資金調達が困難でした。

そのため、投資家がエマージング諸国の通貨リスクを負う必要のない、米ドルによる資金調達が一般的となり、米国債の利回りに、各発行体の債務支払い能力(信用スプレッド)が上乗せされて利回りが決まる外貨建て債券が主流となりました。

しかし、商品市況の高騰を背景に資源が豊富なエマージング諸国の財政状態が改善したことや、インフレ率が低下傾向となったことなどを要因として、2000年台に入ると現地通貨建て債券の発行が急増し存在感が急激に高まりました。

この結果、利回りを追求した先進国の投資家が現地通貨建て債券に注目し投資を増やしました。

現在ではエマージング債券市場全体の80%以上が現地通貨建て債券となります。

SBI証券で投資できるエマージング債券ファンドは複数の国のエマージング債券に投資できるのでリスクを分散することができるのでおすすめです。

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エマージング債券のリスク

それでは、エマージング債券に投資する上で、最も重要であるリスクについて考えてみましょう。

外貨建て債券と現地通貨建て債券のどちらに投資するかによって注意すべき点が違うのがポイントです。

信用リスク

まず信用リスクです。発行体が国であれば財政状態や政治リスクなど、企業であれば財務状況、事業環境などが考慮され格付けが付与されますので、信用リスクの一つの目安として参考にするのがいいでしょう。

外貨建て債券の場合は、外貨建て債務を支払う能力が問われますので、外貨準備高の水準なども重要視されます。

一方で現地通貨建て債券の場合ですが、通貨の発行権は各国政府にありますので、債務支払い能力は外貨建て債ほど重要視されませんが、財政の健全性や政治の安定性などが格付けに反映される点は外貨建て債券と同様です。

  ただし、通貨供給を闇雲に増やせば、インフレ懸念から通貨価値が下落し、結果的に現地通貨建て債券のリターンが悪化することになります。

金利リスク

外貨建て債券へ投資する場合ですが、例えば米ドルなら投資家は米国金利の変動リスクを負うことになります。

現地通貨建て債券の場合、投資家はエマージング各国の金利変動リスクを負担します。

エマージング各国の経済及びインフレの状況、財政の健全性、政治リスクなどを要因として金利水準が決まります。

一般に、米国金利に比べ、エマージング各国の金利変動リスクの方が高い傾向にあります。

通貨変動リスク

外貨建てエマージング債に投資する際に、投資家がエマージング諸国の通貨リスク負うことはありません。

外貨建てですので、例えば米ドルの変動に対するリスクを負うことになります。

一方で現地通貨建てエマージング債の場合、投資家はエマージング各国の通貨リスクを負うことになります。

エマージング通貨は、景気やインフレ率の変化が大きく、米ドルなどの先進国通貨に比べ通貨の変動が激しい傾向にあり、現地通貨建て債券に投資する場合は、通貨変動リスクへの配慮がとても重要です。

特に対ドルでの変動が激しく、リーマンショックなどの危機が起こるとリスク回避の投資行動が起こり、安全通貨であるドルが買われ、エマージング通貨は下落する傾向にあります。

一方で、通貨の変動はポートフォリオの収益の源泉でもありますので、適切に管理することでポートフォリオの収益向上に貢献します。

エマージング債券投資の注意点

最後に実際にエマージング債券に投資する上での注意点を説明します。

カテゴリーの選択 (外貨建て or 現地通貨建て)

これまでエマージング債券に投資する際には、外貨建て債券と現地通貨建て債券で投資家が求めるリターンや負担するリスクが違うことを説明しました。

一般に、通貨リスクと金利変動リスクが大きくなる現地通貨建て債券の方がリスクが高いと言われています。

一方で、ポートフォリオの分散と流動性という観点からは、外貨建て債券よりも現地通貨建て債券の方が優れています。

大切なのは、個々の投資家が求める利回り水準と負うことのできるリスクを考慮し、エマージング債券をそれぞれのポートフォリオに組み入れる際のメリットを十分に理解した上で投資することです。

投資方法と運用者の選択

エマージング債券へ投資する際は、先進国債券への投資と比べてより一層信用リスクへの配慮が必要になります。

国債

2020年にはレバノン、アルゼンチン、エクアドル等の国が、 債務不履行若しくは債務再編の交渉を債権者と行うという事態が発生しました。

このようにエマージング債券市場では、しばしばクレジット・イベントが発生しますので、個々の債券に直接投資するのではなく、分散されたポートフォリオを持つ投資信託やETFを利用して投資を行うのが賢明だと考えます。

そして、投資信託もしくはETFを選択する際には、運用者の運用能力をしっかりと検討することが必要です。

エマージング債券のユニバースは極めて多岐にわたっており、多くの国のファンダメンタルズや企業の財務状況、通貨動向などを綿密に分析する必要があります。

これらの国のインフレ率や経済成長 カントリーリスクは目まぐるしく変化することがありますので、運用には高い専門性が要求されるのです。

カントリーリスクの例

グローバルに拠点を展開し、経験豊富なファンドマネージャー、アナリスト等の専門家で構成された運用チームをを有する資産運用会社を選択するべきでしょう。

本邦投資家は、パッシブ及びアクティブの公募投信やETFが購入可能です。米ドルを中心とした外貨建て債券中心のファンド、現地通貨建ての国債を中心に運用するファンドが主流です。

加えて、ドル建て債券と現地通貨建て債券をミックスしたファンドやアジアのエマージング債に特化したもの、資源国通貨に絞ったものなど、多様なファンドに投資可能です。

投資家が求めるリターン、許容可能なリスクを熟考し、最適な投資機会を選択してください。

なお、当サイトでは「ハイイールド債」についての解説記事も掲載していますので、合わせてご参考ください。

現在の市場環境

2020年に始まった新型コロナウイルスの世界的な蔓延による経済悪化に対応するために、各国中央銀行は政策金利を過去最低水準まで引き下げ、先進国債券の利回り低下が進みました。

このような環境下、より高い利回りを求める投資家の注目はエマージング債券にも及んでいます。

しかし、コロナ禍の影響を大きく受けたエマージング諸国のファンダメンタルズの改善は、中国を除き遅れ気味です。

加えて、先進国ではワクチン接種も進み、経済の正常化が視野に入りつつあり、予想より早く金融緩和を解除する動きも見られます。

この結果、先進国の金利が上昇し、債券利回りが上昇すれば、エマージング債券も影響を受けることになり、資金が流出する懸念もあります。

しかし、各国中央銀行が金融市場が大きく変動することがないように金融緩和の解除を徐々に進めて、経済をソフトランディングさせることができれば、相対的に利回りの高いエマージング債券の魅力が増すことになるでしょう。

利回りを追求する投資家にとって、高い利回りを安定的に享受することができるエマージング債券は引き続き魅力的であり、ポートフォリオに加える資産として有効であると考えられます。

SBI証券では数種類のエマージング債券ファンドに投資をできますので、SBI証券公式サイトから実際に確認してみましょう。

まとめ

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先進国に比べ、新興国の債券に投資するのはリスクが高いと考える投資家がはまだ多いと思われます。

しかし、世界的な低金利環境下において、より高い利回りを求める投資家の動きは止まることはないでしょう。

グローバルに経済の正常化が進んだ後には、潜在成長力の高いエマージング諸国のファンダメンタルズが改善し、格付けの改善などにつながるため、より魅力が増す可能性があるのです。

エマージング債券の特性をしっかり理解し投資すれば、本邦投資家に魅力的なパフォーマンスをもたらすでしょう。

本コラムを読んで、興味を持ち、ポートフォリオに組み入れたいと思った方はぜひエマージング債券への投資を始めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
長谷川

長谷川 保

大学卒業後、英バークレイズ銀行傘下の証券会社に入社しロンドンにて勤務。
債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な運用商品に携わる。
現在は自己資金でトレーダーとして活動中。
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Hasegawa Tamotsuのアバター Hasegawa Tamotsu デリバティブトレーダー

大学卒業後、英バークレイズ銀行傘下の証券会社に入社しロンドンにて勤務。
債券や先物・オプションなどのデリバティブを担当。帰国後、外資系資産運用会社に転じ、ファンドマネージャーやプロダクトマネージャーとして様々な運用商品に携わる。
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