バンカーズ(Bankers)がSBIソーシャルレンディングと合併した?今後の見通し等を解説
Bankers(バンカーズ)は、2020年12月にサービスが開始された、歴史が比較的浅いソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)のプラットフォームです。
そのBankersが、業界屈指の規模を誇っていたソーシャルレンディングサービス「SBIソーシャルレンディング」を2022年5月に合併し、事業を継承しました。
この記事では合併に至った経緯や、Bankersの今後の見通しなどを解説していきます。
BankersとSBIソーシャルレンディングが合併した?
ソーシャルレンディングプラットフォーム「Bankers」を運営する株式会社バンカーズの持株会社、株式会社バンカーズ・ホールディングは、2022年3月31日付けで、SBIソーシャルレンディング株式会社の発行済株式をすべて取得しました。
SBIソーシャルレンディング株式会社は、元SBIホールディングス傘下の企業で、ソーシャルレンディングサービスを手がけていました。
日本屈指の規模を誇るソーシャルレンディングサービスだったのですが、2021年はじめに事業の中で不祥事があったことが発覚し、2021年5月には、自主的に廃業してソーシャルレンディング事業から撤退することとなります。
まずは、そこまでの経緯を振り返っておきましょう。
SBIソーシャルレンディングが廃業に至った経緯
SBIソーシャルレンディングでは2021年はじめに、一部の出資先で事前に公開していた計画通りに貸付金が使用されておらず、SBIソーシャルレンディング側も資金使途の確認などを怠っていたことが発覚しました。
2021年2月に第三者委員会による調査がおこなわれ、その調査報告によると、問題のあった特定の企業がらみのファンドでは、太陽光発電やバイオマス発電、不動産開発の名目で出資を募りながら、審査やモニタリングが適切に実施されずに、実際には集めた資金の大部分が違う目的に使われていたとされています。
また、不正をはたらいていた特定の企業がらみのファンドは多数あり、一時はSBIソーシャルレンディングの融資残高に占める割合が、トータルで4割を上回るほどの規模でした。
この結果を受けてSBIソーシャルレンディング株式会社は、2021年6月に関東財務局から一時的な業務停止命令を含む行政処分を受けることになりますが、その前に2021年5月末の段階で、自主的な廃業およびソーシャルレンディング事業からの撤退を決めています。
合併に至った経緯と合併前後の動き
SBIソーシャルレンディング株式会社が自主的な廃業へと進む中、同社には株式会社バンカーズを含む複数社から事業継承の申し出がなされていました。
検討の結果、金融機関としての高い専門性と、適正なコンプライアンスおよびガバナンスの体制を有し、実績もある株式会社バンカーズが事業継承先として選定されます。
2022年3月31日には、株式会社バンカーズの親会社である株式会社バンカーズ・ホールディングが、SBIソーシャルレンディング株式会社の発行済株式の全株を取得しました。
株式取得後は事業継承に向けて、SBIソーシャルレンディング株式会社は一時「株式会社バンカーズ統合準備室」となりますが、2022年5月9日付けで、株式会社バンカーズと株式会社バンカーズ統合準備室の統合が完了しています。
ちなみにSBIソーシャルレンディングで運用されていたファンドは、2022年3月末までに投資家に対して、出資資金全額の償還を終えています。
Bankers(バンカーズ)の特徴
ここで、SBIソーシャルレンディングを合併したBankersが、どういったソーシャルレンディングサービスなのか特徴を確認しておきましょう。
- 金融のプロ集団によって、出資対象が厳選されている
- リスク軽減の仕組みが用意されている
- 情報の透明性が高い
金融のプロ集団によって、出資対象が厳選されている
Bankersは銀行や証券、ノンバンク(銀行以外の金融機関のこと)の出身者など、金融に関する業務の経験があるプロが揃っており、そのプロ集団によって以下のような項目で、厳正にファンドの審査がおこなわれています。
- 事業計画の妥当性
- 資金使途と妥当性
- 事業の実在性、業務遂行能力
- 法令順守状況、事業の社会性
- 財務状況および過去1年以内の資金調達状況
募集をかけるかどうかは、専門知識を有する弁護士が出席する判定会議で決定していることからも、1つ1つのファンドの信頼性は十分にあると言えるでしょう。
リスク軽減の仕組みが用意されている
Bankersでは、出資を募るファンドを厳選した上で、さらにリスク軽減の仕組みもあります。
その1つが「セイムボート出資」であり、株式会社バンカーズの親会社である株式会社バンカーズ・ホールディングも、投資家と同様にファンドへ出資してリスクを共有することで、利益相反防止を図っています。
また、一部のファンドでは出資の際に商業手形を発行しており、万が一出資先の業績が悪化することがあっても、資金を回収できるように工夫されています。
情報の透明性が高い
投資家に対する情報の透明性が高いのも、Bankersの特徴の1つです。
各ファンドは、プロジェクトや概要が示されているのはもちろんのこと、Bankers独自の5段階評価であらかじめリスクが開示されています。
そのため投資家は、リスクとリターンを天秤にかけながら、自身の方針に合ったファンドに出資することができます。
さらに、運用中は出資先に対するモニタリングがなされて、投資家にその結果報告が毎月おこなわれます。
Bankers(バンカーズ)の今後の見通し
それでは最後に、Bankersの今後の見通しを考察してみましょう。
SBIソーシャルレンディングは、不祥事が起きる前の時点で、5万人を超える顧客を抱えていました。
もちろん不祥事の後に利用をやめた投資家も多いと思われますが、それでもBankersは相当数の顧客基盤を引き継いだことになることから、今後の事業拡大のための大きなチャンスを得たと言えるでしょう。
またBankersは最近のプレスリリースの中で、近い将来勃興することになるであろうAIやブロックチェーン、メタバース領域への研究開発を通じた、新たなサービスの提供も検討・実現していきたいと幾度も発信しています。
今後そうした方針が具体的な形を持ったときに、どのように展開されていくのか要注目です。
以上、今回はBankersとSBIソーシャルレンディングの合併や、今後のBankersの見通しなどを解説しました。
なおBankersについては、別途以下の記事でメリット・デメリットや、実際に使用しているユーザーからの評判、使用方法などを紹介しています。
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