アートのオークションとは?日本・世界での種類や仕組み・買い方/売り方を解説
「アートオークション」というと、「美術の専門家や選ばれたコレクターが参加するもの」と一般の人には敷居の高いイメージを持たれがちです。
日本ではアートは鑑賞するもので、購入する対象として考えている人はまだまだ少ないのが現状です。
しかし世界では、実物資産としての魅力からアート投資が人気を呼び、アートマーケットのトレンドを創り出すアートオークションはますます注目を集めています。
ここではアートオークションの仕組みや種類、参加の仕方などを詳しくご紹介していきます。
- アートのオークションで取り扱う美術品の多くは価値の認められたセカンダリーアート
- 落札価格がオープンとなるため透明性が高い
- Shinwa Auctionではアートをオークション出品・購入できる
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アートのオークションとは?
アートオークションは、美術品に限定した品物の売買を行うオークションのことです。
オークションが行われる会場を指してアートオークションと呼ぶこともあります。
また、オークションを行う企業・団体は「オークションハウス」ともいわれます。
アートオークションの歴史は古く、有名なオークション会社「サザビーズ」の設立は1744年。書籍のオークションから始まった世界で初めての競売会社です。
1766年には、美術商が創設した「クリスティーズ」が設立されます。
この2社は「二大オークションハウス 」と言われ、世界の美術市場を牽引しています。
サザビーズ、クリスティーズなどの大手オークションハウスは、現在では世界の主要都市に支店を持つまでに成長し、世界中のアートコレクターたちを集めてさまざまなオークションを開催しています。
オークションには絵画、陶芸、宝飾などさまざまな美術品が出品されます。ジャンルも現代美術から古典、骨董までバラエティーに富んでいます。
オークションハウスはオークションを開催する前にこれらの作品のカタログを制作し、オークション参加者はこのカタログを見て入札する作品を検討します。
Webで作品を公開するオークションハウスもあります。
アートのオークションの仕組み
アートオークションで取引される美術品のほとんどは、一度販売されて所有されていた作品。
比較的世に広く知られている知名度の高いアーティストの作品が中心です。
そうした作品を扱う市場は、「セカンダリーマーケット」と呼ばれます。
美術品の所有者が売却を希望すると、アートディーラーが仲介して美術品をアートオークションに出品します。そうした理由から、出品者はアートディーラーが多いのが実情でした。
しかし最近では、ディーラーを通さずに最初からオークションに作品を出品するコレクターやアーティストも増えています。
大手オークションハウスの多くは「競売方式」のオークションを開催します。
会場にディーラーやコレクターなど参加者を集めて競り合い、最高額を提示した人が落札する形式のオークションです。
落札価格もオープンになるので、透明性が高いのが魅力です。
また、オークションハウスが主催するオークションでは主催者が鑑定した作品が出品されるため、参加者は安心して落札することができます。
あまり知られていませんが、オークションには一般の人も事前登録すれば自由に競りに参加できます。
オークション前の下見会には予約なしで誰でも入場することが出来ます。
【日本】アートのオークションの種類
アートオークションについて概略をみてきましたが、実際に日本にはどんなオークションハウスがあるのか、それぞれの特徴をご紹介していきます。
- シンワオークション
- 毎日アートオークション
- SBIオークション
- マレットジャパンオークション
- ニューアート・エストウエストオークション
シンワオークション
1989年に創業した美術品業者交換会「新和会」から発展した日本初の本格的なオークション会社。
一般の人が公開の場で納得して売買できるオークションの仕組みを日本でも確立しようと、1991年シンワアートオークション株式会社へと社名変更し、業界の先駆けとしてオークションの継続的な開催をビジネス化。
2005年には大阪証券取引所「ヘラクレス」(現東証JASDAQ市場)へ上場しています。
日本画・洋画・外国絵画・彫刻・版画・戦後美術&コンテンポラリーアートなどを中心に、陶芸など工芸品、宝飾、近年ではワイン、マンガなど、年間20回程度のオークションを開催。
アート界を牽引する作家の作品から、オークションの種類によっては落札予想価格2万円からという作品まで幅広く扱われ、透明性の高い取引からコレクターや画商が多く参加します。
毎日アートオークション
毎日新聞系列の国内有数のオークション会社。
誰でも参加できる欧米型公開オークションの老舗です。
絵画、工芸、古美術、ジュエリー、時計、家具などは幅広い分野のオークションを年間30回以上開催しています。
1回のオークションで平均1200点が出品され、数多くの作品から選ぶことが出来ます。
取扱量、出来高は業界トップ。ジュエリー、時計のオークションは特に定評があります。
SBIオークション
2011年に設立したSBIグループが運営するアートオークションです。
現代アートに特化しているのが特徴で、絵画、写真、デザイン、工芸など有名作家から若手作家まで出品されるオークションを年に4~5回開催。
新人作家の発掘や新たなコレクターのオークションへの参加にも積極的に取り組んでいます。
また、アートイベントを開催する際のコンサルティングなど、アートに関する幅広い業務も行っています。
マレットジャパンオークション
近現代アートを中心に扱うオークションハウス。
2005年の創業時から海外マーケットを意識し、ピカソ、ミロ、シャガール、草間彌生、村上隆から次世代の作家まで海外でも定評のある作品を手掛けており、海外から参加するコレクターも多いのが特徴です。
年に5回ほどの開催ながら、近年でも田中敦子、藤田嗣治、アンディ・ウォーホルの作品など、高額落札されています。
ニューアート・エストウエストオークションズ
美術品オークション会社としては日本で最も早い、1984年に創業したオークションハウス。
アジアで最も歴史のあるオークション会社でもあります。
香港にも拠点を持ち、東京、香港で年4回のオークションを開催。
勢いのある中国、香港のアートマーケットとの直接のつながりを持つオークションハウスです。
【世界】アートのオークションの種類
「サザビーズ」「クリスティーズ」などは、アートに関心のない人でもその名を知るほどの世界的オークションハウス。
今ではオンラインライブなどで、海外オークションへも参加しやすくなりました。
海外の大手オークションハウスをご紹介します。
- クリスティーズ
- サザビーズ
- フィリップス・オークショニアーズ
- ヘリテージ・オーックションズ
- ボナムス
クリスティーズ
サザビーズと並ぶ世界2大オークションのひとつクリスティーズ。
ルネサンス期の名画から現代アート、宝飾品、時計、ワインなど80種類以上を取扱い、超一流の芸術品が出品されます。
特に第二次世界大戦前の作品には定評があります。
近年でもダヴィンチ作とされる「サルバトール・ムンディー」が、約508億円で落札されるなど話題をよびました。
1766年にロンドンで創業したクリスティーズは、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ジュネーヴ、アムステルダム、ローマ、ミラノ、香港、シンガポール、バンコクなど世界の主要都市にオークションハウスを展開しており、美術界をリードするオークションハウスです。
サザビーズ
サザビーズは、1744年に世界ではじめてロンドンで創業した老舗美術品オークション会社で、現在はニューヨークに本部を置き、ヨーロッパ、中国、中東など世界各地に拠点があります。
クリスティーズとともに、オークションハウスの代名詞になっています。
各国の第一級の美術品、宝飾品、アンティーク、ワイン、自動車などを取り扱い、現代アートに強いことでも知られます。
日本の実業家前沢友作氏がバスキアの作品を123億円で落札したのもサザビーズオークションです。
また世界で初めてインターネットオークションを開催するなど、先端技術を取り入れるのにも積極的です。
2019年には帝国ホテル内に東京オフィスを開設。日本にいながら世界的オークションへの参加が身近になりました。
フィリップス・オークショニアーズ
1796年にロンドン・ウエストミンスターで創業。
マリー・アントワネットの邸宅の絵画やナポレオンの家庭用品を扱ったことで有名になり、バッキンガム宮殿内で販売を行った唯一のオークションハウスでもあります。
特にヴィンテージ時計のオークションには定評があり、近年ではコンテンポラリーアートの分野でも注目されています。
また、アジア市場に力を入れており、香港、ジャカルタ、シンガポール、東京などにギャラリーを持ちます。
ヘリテージ・オークションズ
1976年に設立されたアメリカ生まれのオークションハウス。
アンティーク通貨の分野では他の追従を許しません。
美術品の他、コミックアートやスポーツカード、URLドメイン、高級不動産などユニークな分野のオークションも展開しています。
Webで出品作品すべてを見ることができるようになっており、高い落札率を誇ります。
ボナムス
1793年、ロンドン・コベントガーデンで創業した個人所有の国際オークションハウス。
美術品や骨董品、自動車、宝飾品など、60ものカテゴリーで年間400以上のオークションを行っています。
特にヴィンテージカーの分野では業界一の強さを誇り、また、アジア美術にも定評があります。
アートのオークションでの買い方
アートオークションに参加するのは、実はとても簡単。
出品作品を期間前に展示する下見会なら誰でも参加することができますし、競りにもちょっとした事前手続きで誰でも参加できます。
ここでは国内大手のシンワオークションを例にとって、アートオークションでの買い方をご説明します。
- オークションハウスのHPで開催スケジュールをチェック
- 下見会に参加する
- オークション参加登録
- 落札・購入代金の支払い
- 作品の引き渡し
オークションハウスのHPで開催スケジュールをチェック
オークションハウスのHPでは近日開催オークションの日程が公開されているのでまずはスケジュールをチェック。
ほとんどの場合、オークションは「近現代絵画」「陶芸」などカテゴリー別に開催されることが多いので、興味のあるカテゴリーがいつ開催されるのか見ておきましょう。
スケジュールをチェックしたら、どんな作品が出品されるか確認します。オークションハウスでは出品作品を網羅した「オークションカタログ」を発行しています。
有料の場合も多いですが、申し込んでおけばフルカラーの美しいカタログを送付してくれます。
また、Webで出品作品を公開するオークションハウスもあります。
シンワオークションでは2週間前を目安にWebサイト内に出品作品が無料で公開されます。
下見会に参加する
オークション開催日の数日前、すべての出品作品を展示する下見会が開催されます。
あまり知られていませんが、下見会は予約不要、入場無料。
入札に参加するしないに関わらず、誰でも参加することが出来ます。
一度にたくさんの作品を観ることが出来るので、観るだけでも楽しく過ごすことが出来ます。
決して堅苦しい雰囲気ではないので、展覧会でも見るように気軽な雰囲気を楽しんでください。
カタログで目星をつけた作品は、実際に見て大きさや作品の状態を確認しましょう。
実物を見てはじめてわかることもあります。
作品には予想落札額が表示されていますので参考にしてください。
質問があればスタッフに何でも聞いてみましょう。作品のことからメンテナンスまで詳しく説明してくれます。
アートの選び方については「アートの選び方」の記事でより詳細に解説しておりますので、ぜひご参照ください。
オークション参加登録
オークションは自由に見学できますが、オークションにはじめて参加する際には会員登録が必要です。
Webでも登録できますし、下見会やオークション会場で直接登録することもできます。
郵送でも可能です。登録の際には本人確認が必要になります。
オークションに参加する
オークションへの参加は無料、会場への入場は予約不要です。
参加しない場合でも自由に見学することができます。オークションへの参加は以下の方法があります。
会場入札
オークション当日、会場で入札に参加。受付で入場券を提示し、パドル(番号札)を受け取って競りに参加しましょう。
わずかな時間でどんどん価格が競りあがっていくオークションならではの臨場感と熱気を味わうことができます。
初めての人でもスタッフがわかりやすくルールを説明してくれるので安心です。
ライブオークション
自宅でオークション会場のライブ配信を視聴ながら、リアルタイムでオークションに参加できるシステム。
シンワオークションでは2021年より「Shinwa Auction LIVE ライブビッディング」を運用し、事前登録することによって自宅やオフィスでオークションに参加できるようにしています。
電話入札
事前登録の上、オークション当日、リアルタイムで電話をつなぎ競りに参加することができます。
事前入札
オークション当日の都合がつかない場合も、事前登録することによってカタログなどで作品を確認しながら事前に入札することができます。
オークション前日まで受け付けており、「オンライン事前入札」「書面入札」が用意されています。
落札・購入代金の支払い
自分の予算を決めてセリに参加します。ハンマーの音、落札価格の声で会場が沸きます。
シンワオークションでは落札が決定すると「落札確認書」が発行されます。
「落札確認書」には落札した作品、落札手数料、消費税を含めた請求金額が記載されています。
手数料は落札金額によって異なりますが、10%から20%程度が相場。
オークション当日から10日以内に銀行振り込みまたは銀行小切手で支払います。
作品の引き渡し
入金確認後、作品が引き渡されます。
オークションハウスで作品を受け取ることもできますし、配送してもらうこともできます。
受け取りに行く場合は落札時に発行される「作品引取書」をお忘れなく。
アートのオークションでの売り方・出品方法
所有している美術品を売りたいときも、オークションハウスに相談すれば出品から代金の受け取りまですべて安心して任せられます。
ここでもシンワオークションを例にとってご説明します。
- オークションハウスに問い合わせる
- オークションハウスから提案を受ける
- 事前登録する
- オークションハウスと契約を結ぶ
- オークションハウスと下見会
- オークション
- 代金の受け取り
オークションハウスに問い合わせる
売却したい美術品があれば、まずオークションハウスに問い合わせましょう。
電話での相談のほか、Webの査定フォームから画像を送ることで、概算査定をしてもらうことができます。
もちろん個人情報は非公開なので、安心して相談することができます。
オークションハウスから提案を受ける
作品査定の上、オークションハウスの専門家が、リザーブプライス(最低売却価格)とエスティメイト(落札予想価格)を提案してくれます。
公開オークションだけでなく、専門家の目から見た最適な売却方法を提案してくれるので、不安なこと、わからないことがあればどんどん質問しましょう。
わかりやすく説明してもらえます。
公開オークションに出品する場合、出品費用がかかります。
シンワオークションの場合は次の通りです。
- 販売委託手数料:落札価格の11%(税込)
- カタログ掲載料:¥5,000.~¥30,000.
- 鑑定料や額などの修理費用、著作権料が発生した場合、その実費
事前登録する
初めてオークションを利用する場合、登録が必要です。登録は無料となっています。
Web、下見会・オークション会場、郵送にて受付けており、身分証明書が必要となります。
オークションハウスと契約を結ぶ
オークションハウスと販売委託契約を締結。
オークションへの出品が確定します。
オークションカタログと下見会
出品が決まると、作品がオークションカタログに掲載されます。
作品情報はWeb上にも公開され、入札希望者は国内外で作品を閲覧することになります。
展覧会形式の下見会も開催され、いよいよオークションのスタートです。
オークション
オークションでは、会場での入札のほか、ライブオークション、電話入札、事前入札など、数百名の参加者の中で1点ずつ丁寧に競売されていきます。
代金の受け取り
落札された作品は、落札価格から販売手数料、カタログ掲載料、修理など、費用がかかった場合は実費を差し引いた額が振り込まれます。
シンワオークションの場合は、オークション開催日から原則35日以内で決済が完了します。
なお、アートを売りたいとお考えの方は「アートの売却方法」の記事もぜひご一読ください。
アートのオークションまとめ
敷居が高いと思われがちなアートオークションですが、実は誰でも参加できる透明性の高い美術品売買の場です。
落札価格も億単位の作品から数万円のものまで実に様々です。
予算内でいろいろな楽しみ方ができます。
実際に会場でパドルを挙げて競り合う臨場感は、まさに大人の楽しみともいえるでしょう。
投資の対象としても注目されるアートオークション、この機会にぜひ一度体験してみてはいかがでしょう。
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