経営者がアートに注目する理由は?芸術とお金/経済の関係を徹底解説
近年、SDGSの観点やSNSでのブランディング構築など、経営者を取り巻く環境にも変化が起こっています。
今回は経営とアートの関係性に関して詳しく見ていきたいと思います。
- 経営者がアートに注目する理由はアートが魅力溢れる存在だからです
- アート型思考・アート経営とは経営者の人生観を経営に生かすことで実現されます
- 経営者のアート購入は事業展開とタイミングを見計らって始めましょう
- アートを購入する目的は実績ポートフォリオの一部としてさりげなく活用してみましょう
- アートと経済(お金)の関係は根深く、都市や人まで大きく変化させます
- BtoCだけでなく、BtoB、BtoAまでアートには広がりがあります。
経営とアートの関係性は何も売買だけではありません。
アートを経営に取り込む事で思わぬ文化交流の機会に恵まれたり、思考力が養われたりと様々なメリットがあります。
この記事では、経営におけるアートとの関係性について詳しく解説していきますので、是非最後までご一読ください。
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経営者がアートに注目する理由
経営者の方がアートに注目する理由とは、アートが魅力溢れる存在だからです。
ではアートの魅力とは何なのか、3つの魅力に分けて纏めているので詳しく見ていきましょう。
- 閑静に訴えかける魅力
- 緩衝材としての魅力
- GIVERの精神を鍛えるという魅力
感性に訴えかける魅力
アートは感情を刺激する事が得意です。
感性に訴えかける事によって劇的な価値を生み出す事が出来ます。
優秀な経営者の方であれば、ビジネスシーンにおけるアートの有効活用法に気づかれていると思います。
アートを通して感性に訴えかける魅力を実感できる具体的な例をいくつか挙げるので見ていきましょう。
- アーティスティックな手書きラベルを張ったお酒を貰うと従来のものより『真心が含まれている』と感じる
- 旅行先のアクティビティとして陶芸やガラス工芸など芸術活動にチャレンジすると思い出が残ったと感じる
- 海外のゲストをもてなす際に舞妓さんを手配すると日本舞踊を間近で堪能できたと大感激された
- 休日に普段立ち寄らないギャラリー巡りをすると何も買っていないのに満たされた気分になる
このようにアートが感性に訴えかけると金額ではない価値を生みだす事が出来ます。
経営者の方がアートに注目する理由として、まず第一にアートが感性に訴えかける魅力を持っているからと言えるでしょう。
オークション勝者の呪い:
一歩進んだ話になりますが、感性を刺激された結果、アートがポジティブとは真逆の効果を生み出す場合もあるので注意しておきましょう。
オークション勝者の呪いとは、購入して実際に作品が届くと冷めてしまって「どうしてこんなものを買ったのか」と後悔する事を言います。
オークションの雰囲気や競争心を刺激される演出に飲まれて、作品への期待値を随分と釣りあげてしまう事は程々にしましょう。
緩衝材としての魅力
ビジネスでは従来、数字が非常に重要視されます。
しかしアートは数字だけで追えない部分を補填する能力があります。
アートはビジネス上の数字が未知数でも『癒し』『真心を伝える』などと抽象的な言葉でも納得を得られる能力を持っています。
勿論、聞き馴染みが良いだけで納得を得られているのではなく、緩衝材としてアートを活用して数字の追求だけでは補いきれなかった側面をカバーする利用方法に可能性を見出しているからと言えます。
ビジネスシーンにおいてアートは非常に便利に活用できます。
これは私見ですが、子育て・結婚・リタイア後の暮らし方・介護・医療・観光・都市事業…あらゆる産業アートを緩衝材使用する事が可能だと思います。
従来のイメージをリニューアルする為に緩衝材としてアートを潜り込ませる事で、多様性をアピールする事が出来ます。
アートを緩衝材としてイメージ戦略や企画に取り入れて、経営に新しい風を呼び込んでみましょう。
経営者の方がアートに注目する理由の2点目は『アートには緩衝材としての魅力があるから』でした。
多様性とアート:
年齢・国籍・性別に関して多様性がある事とアートが直結している訳ではないのですが、アンディ・ウォーフォールやキース・へリングら有名アーティストの人生から、アート=多様性と言った概念が一般化しました。
有名アーティストは発信力を持っているので言葉が届きやすく、文化の最先端にいるのでアーティストの発言や行動をチェックしてみると時代の先読みになって面白いと思います。
経営のヒントになるアイデアが飛び出すかも知れません。
GIVERの精神を鍛える魅力
自己啓発書などでGIVERの精神に関して書かれているものが良くありますが、尊敬が集まる経営者の方であれば自然とその精神をお持ちの事と思います。
自分らしく生きる為に、自分の個性を使って人に『与える(GIVE)』する事は仕事であれ趣味であれ生き甲斐と直結します。
経営者にとって重要なマインドだと思いますが、ここで一つ、歴史を紐解いた例を出して解説させていただきます。
400年以上前、戦国時代の名だたる覇者がこぞってやりたがったトレンドのアートが日本には存在します。
茶道です。
今のイメージの茶道とはかなり違って、当時は茶道は非常に男性的なステイタスでしたが、400年続く文化だけあって茶道は『感性に訴えかける魅力』と『緩衝材としての魅力を』非常に強く持っています。
しかも、自分らしく相手に与えられる真心とは何かと言ったGIVEの真髄が反映されています。
400年前の茶の湯の秘伝書『山上宗二記』には『茶湯名人二成テ後ハ、道具一種サヘアレハ、侘数寄スルカ専一也』とあります。
要約すると『その分野で評判になった後は、あれこれ欲しがって集める事が重要なのではなく、シンプルであっても工夫を持って取り組んで自分なりにカッコいいものを生み出せる人になりなさい』と言った内容です。
自分は控えめでいて相手をもてなす事に工夫を凝らすと言った千利休の価値観は、戦国時代の武将にとっても胸に刺さる内容であったと頷けますし、現代の経営者の方にもGIVERの精神を鍛える糸口として役立つと感じます。
今回分かりやすいように茶道を一例としましたが、アートに取り組むと言う事は日常生活では忘れがちな気づきを与えてくれるものです。
経営者の方がアートに注目する理由の最後は『アートにはGIVERの精神を鍛える魅力があるから』でした。
アート型思考・アート経営とは
アート型思考・アート経営の提唱内容には様々ありますが、要約すると枠に当てはめない柔軟性・自由な思考力と言えます。
しかしながら、自由=幼稚さ(破天荒)と雰囲気だけ取らないように心がけましょう。
多くの芸術家は感性の赴くままに作品制作しているわけではないです。
制作期間から逆算してスケジュールも組みますし、施工計画書や見本も制作して材料発注します。
ではどうやって枠に当てはめない柔軟性・自由な思考力を養うのかと言えば、哲学書が役立つと思います。
アートと哲学が関連付けられているとは意外と思われがちですが、美大で現代アートを学ぶ際に座学で哲学は必ず履修します。
アートに関して掘り下げている哲学書籍にアート型思考のヒントが書かれている筈です。
下の『知っトクコラム』で推薦図書をあげておきますのでチェックしてみて下さい。
また、禅に関しての説明を展開している哲学書やオープンマインドに関して詳しく説明している自己啓発本もアート型思考の鍛え方と言った観点で役立つヒントが乗っているかも知れません。
アート型思考・アート経営とは経営者の人生観を経営に生かすことで実現されます。
アートを美大生はどう勉強をしているか:
色々な美術大学が日本にはありますが、一般に現代アートの定義として座学に使われる定番の教本をシェアしておきます。
大森正蔵『新感覚新論』
フランスの哲学者モーリス・メルロ・ポンティの主張を要約した内容で公立・私学ともに美術大学の座学で使用されます。
現代アートの制作には哲学的な思考が必要とされており、『新感覚新論』内の『真実の審美眼』と言う章だけでも押さえておくと、マルセル・デュシャンや日本の『もの派』と呼ばれる芸術運動のコンセプトを把握出来るのでアート型思考を取り入れる手始めに読んでみて下さい。
経営者のアート購入の事例
それでは経営者のアート購入に関していくつか触れていきます。
経営者のアート購入は事業展開とタイミングを見計らって始めましょう。
- コラボレーション
- スポンサー
- 支援活動
- チャリティオークション
以下の事例を通して経営と絡めたアートとの関わり方のヒントになればと思います。
コラボレーション
企業のイベントとしてアーティストとコラボレーションを企画し、その作品を買い上げてビジネスシーンで利用する購入方法が一番リスクが少なく、尚且つ、発信力もあって最初のアート購入には参入障壁も低く設定できるので多くの経営者の方が実践しています。
スポンサー
アーティストは作品制作の現場において金銭的にも精神的にも不安定な状況にあるので、支援する意味も込めてスポンサーとなり、活動を支える関わり方があります。
その中で生まれる信頼関係を活用して作品を購入してみてはいかがでしょうか。
支援活動
LGBT支援や障がい者支援、地域支援の取り組みとして、活動に活発に関わっているアーティストの作品を購入する例があります。
企業として支援活動に取り組んでいる事もアピールできますし、スポンサーにならずにアーティストの発信力を活用する機会にも恵まれます。
チャリティーオークション
チャリティーオークションの枠内での購入も経営者のアート購入としては魅力的です。
寄付活動に関してポジティブであることも発信できますし、社会活動の一環としてアートに関わってみる方も多くいらっしゃいます。
アウトサイダーアート(アールブリュット):
国際的にはもっと広い定義がされているのですが、一般に日本においてアウトサイダーアートとは美術教育を受けていない作者がアートセラピー(芸術療法、クリエイティヴ・セラピーの一種)で生みだす作品と定義付けられています。
アウトサイダーアートの発展に貢献する団体が日本に多く存在し、メディアへの露出も多いジャンルです。
作品購入は勿論、施設への寄付や展覧会の協賛など企業として様々な形で関われる可能性があるので、ぜひチェックしてみて下さい。
アートを購入する目的
次にアートを購入する目的に関して記述していきます。
- 話題性の獲得として
- 成功者の証として
- ブランディング構築として
アートと経営を掛け合わせて個性的な武器として活用していきましょう。
話題性の獲得として
話題性を獲得する為にアートを購入するケースがあります。
老舗と言われる企業であれば若返りやターゲット層の一新の為にアートを店舗に取り入れる場合もある程です。
SNSの普及によって、店舗来店の理由は多種多様な広がりがあります。
会社名義にしておけばリセールへ繋げる時もスムーズだと思います。
広い視野を持って事業展開をする為にもアートを活用してみてはいかがでしょうか。
成功者の証として
ずばりステータスとしてアートを購入する場合があります。
これはSNSの普及で経営者が自身のプライベートを画像発信することにも影響があるように思います。
Instagramでもアカウントそのものを『○○縛り』にして発信する事も一般化していますので、投稿をチェックする中で現代アートを目にしたことがある方もいらっしゃると思います。
日本以外のアジア圏ではアート=富の財産と言うイメージはとてもストレートで分かりやすく受け入れられます。
日本人の場合、富をあからさまに開示することを嫌う人も多いので、購入は結構ですがその見せ方には注意が必要でしょう。
また、欧米では『芸術への支援は経済的発展の犠牲の上に成り立っていると言う誤解を払拭したい(出典レポート:Nationai Assembly of NY&NJ ART IN THE LOCAL RCONOMY1994)』と言った意見・思想が20年以上前より根付いているので、国際的にご活躍であれば自己啓示欲の手段としてアートを活用するのは気を付けられると良いと思います。
成功された実績ポートフォリオの一部としてアートをさりげなく活用してみましょう。
ブランディング構築として
ブランディング構築とアートも相性が良いです。
アートにはインパクトがありますし、ハイクラスなイメージを先行させるためにアートを活用する事は定番の経営×アートの法則だと思います。
アートの可能性を活用して認知の広がりを進めてみましょう。
アートと経済(お金)の関係
ここまで経営とアートに関する内容を記載してきましたが、次はアートと経済(お金)と言った大きな額でお話をしていきたいと思います。
- アートは経済と必ずリンクしている
- アートで都市を設計する
- アートを経済発展に活用する
アートは経済と必ずリンクしている
まず、大前提としてアートと経済は必ずリンクしています。
経済が発展してお金の集まっている処に文化が生まれやすい土壌が出来ます。
アートの購入に関しても同じ事が言えます。
アートのジャンルにも寄りますが、大体の場合、アートのリセールで勝負をするなら経済が盛り上がっている国の活発な市場に持って行く事をお勧めします。
アートで都市を設計する
都市のイメージアップの為に街中にファインアートを配置する都市設計は90年代アメリカ・ニューヨークやニュージャージー州などで積極的に行われて来ましたが、その流れは世界中の都市に見て取れます。
パブリックアートを配置する事で治安改善をした例もシアトルのフリーモント・トロールにて実証結果が出ています。
治安が改善されただけでなく、現在のフリーモント・トロールは観光地として多くの方が訪問し、経済の流れそのものを変化させてしまいました。
アートを配置しただけの話ですが、アートの魅力によって経済の動きまで変化してしまう事があるのです。
アートを経済発展に活用する
上項と類似する内容ですが、とても重要なことなので触れておきます。
地方に観光客を呼び込む方法として、アートそのものを観光スポットにする場合もあり、長期経営としての視野を持ち合わせた活用や大きな額の経済発展にもアートは役立てられています。
アートと経済(お金)の関係は根深く都市や人まで大きく変化させます。
国によって守られるアート:
アートは文化として国によって保護される側面を有している存在でもあります。
あまり知られていませんが、補助金の範囲内で動いているアートビジネスもあるほどです。
地域経済活性化の為の文化事業として古美術を含む様々なアートを見かけると思いますが、補助金の流れやモデル事業として国からの募集ありきで動いているイベントも多くあります。
リンクを張っておくのでぜひチェックしてみて下さい。
上記リンク先は文化財に飛びますが、合わせて芸術文化もチェックしてみると面白いと思います。
アートと経営のまとめ
いかがでしたでしょうか。
それでは今回のおさらいを見てみましょう。
- 経営者がアートに注目する理由は感性・多様性・GIVERの精神を見出すからです
- アート型思考・アート経営とは経営者の人生観を経営に生かすことで実現されます
- 経営者のアート購入は事業展開とタイミングを見計らって始めましょう
- アートを購入する目的は実績ポートフォリオの一部としてさりげなく活用してみましょう
- アートと経済(お金)の関係は根深く、都市や人まで大きく変化させます
今回は経営とアートの関係性に関してお話してきました。
BtoCだけでなく、BtoB、BtoAまでアートには広がりがあります。
ぜひこの機会に経営や企画とアートを組み合わせて、楽しい事業経営を進めて頂けますと幸いです。
最後までご覧いただき誠にありがとうございます。
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