アートの購入はオンラインでできる?インターネットで芸術品を買う時の注意点を解説

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アート業界はオンラインへとマーケットの拠点が移り変わろうとしており、今が変革期です。

購買層の若返りであったり、アジア市場の盛り上がり、新規参入が活発化しており、従来、参入障壁があったアートの購入がオンライン化の流れを受けて根底から変わろうとしています。

この記事の要点
  • コロナ禍以降、アートはオンライン購入がトレンドです
  • NFTアート沸騰でアート業界は変革期に入りました
  • 近年オンラインでアートの購入が注目される理由はアジア圏アート投資家に関係があります
  • アートをオンライン上で購入する際の注意点は画像と料金形態です

この記事では、オンラインにおけるアート購入に関して詳しく解説していきますので、是非最後までご一読ください。

この記事の制作者
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坂本智美

京都造形芸術大学(現京都芸術大学)を卒業後、任天堂株式会社の商品品質管理部を経て、和器商会株式会社のオークションマネージャーを歴任。

  • 現在は美術修復スタジオを京都にて運営し
    リセールバリューの底上げに日々奔走
  • 美術に関するコンサル業務も請け負う

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目次

アートの購入はオンラインでできる?

アートの購入はオンラインで購入可能です。

国内だとヤフオクやメルカリなどで玉石混合しており、サポートが行き届いているとは言い難いです。

世界中にはオークション形式でもプライベートセール形式でも様々なアート売買に関するプラットフォームがあるので、まずはザッピングする事が良いと思います。

どのプラットフォームもオンライン上での作品購入に力を入れているので、魅力的な商材に巡り合う可能性が非常に高いです。

後で詳しく触れますが、今、話題のNFTアートの競売も大手老舗オークションハウスらが参入し、オープンシーなどのプラットフォームで探すよりもずっと洗練されたラインナップで購入できる機会が次々と誕生しました。

専門家の意見が反映されたアート投資をオンライン上で堅実に始められる事はとても効率的です。

アートはオンライン購入がトレンドです。

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近年オンラインでアートの購入が注目される理由

最近、インターネット上でのアートや芸術作品が注目されている理由には以下のようなものがあります。

一つづつ見ていきましょう。

オンラインのアート投資が注目される理由
  • コロナ禍のリベンジ消費はオンライン上で活発に取引された
  • バンクシーなどの高額落札の舞台もオンラインへ移行した
  • NFTアートの競売も老舗オークションハウスで行われた
  • 中国系アート投資家がNFTアートを欲しがっている

コロナ禍のリベンジ消費はオンライン上で活発に取引された

オンラインでのアートの購入が注目される理由ですが、やはりコロナ禍の世界的情勢が影響していると思います。
2020年の世界的隔離期間を経て、2021年からのリベンジ消費の舞台は完全にオンライン上に移行したと言えます。
アート業界においても企業の公共性をアピールする舞台として、オンライン開拓は切っても切れない価値があるものに成長したと思います。

知っトクコラム

今年のアートバーセル香港は渡航制限などの問題からオンラインとリアルの同時開催を企画しています。
専用のオンラインビューイングルームにてフェアに参加することが出来るそうです。

現状でもアートバーセルのサイト内で展示室が何室も設けられており、作品購入が可能です。
壁に掛けて作品を見る事が出来たりと、なかなか工夫が行き届いているのでご覧になってみてはいかがでしょうか。

バンクシーなどの高額落札の舞台もオンラインへ移行した

2021年は落札後にシュレッダー装置が動いた事で有名なバンクシーの『Love is in the Bin』が1,858万ポンド(約28.9億円)で落札され、バンクシーのオークション最高落札価格を更新しています。

バンクシー以外にも、コロナ禍においても価格高騰は奈良美智、草間彌生など有名作家らの作品売買において発生しています。

コロナ禍においてアート作品の高額落札が記録され続ける背景には、オンライン上でのオークション参加が背景にあります。

オンライン参加は本来のオークション参加よりも堅苦しくなく、参加方法もシンプルなので参入障壁が下がって気軽に入札しやすい利点があります

サザビーズ・クリスティーズ・フィリップスと老舗と言われる世界的なオークションハウスにおいてもオンラインライブがすっかり定着しています。

オンライン売買の繁栄と同じく、アジア圏コレクターが多くなりつつあると上記の3大オークションがそれぞれレポートしており、アジア圏におけるアート投資の関心度、またその定番化がコロナ禍において一層明確になりました。

アジア圏のアート投資家が世界をリードする流れは今後も続くと予想されます。

NFTアートの競売も老舗オークションハウスで行われた

サザビーズ・クリスティーズ・フィリップスの話が続きますが、老舗オークションハウスでNFTアートの競売が2021年より行われています。

NFTアートがオープンシーを飛び出してアートオークションでも競売されるようになり、アート業界全体が客層の若返り、アジア圏を中心に新規参入などで活発化しました。

なお、サザビーズはデジタルアート以外のリアルな作品の支払い方法としても既に暗号資産(仮想通貨)も受け入れており、メタバースプラットフォーム「ディセントラランド(Decentraland)」にバーチャルギャラリーを設けてNFTアートの展示もしています。

知っトクコラム

コロナ禍以前でもサザビーズのムービープロモーションは説得色がありましたが、コロナ禍においてその技術を存分に活かした成長努力を見て取ることが出来ます。

サザビーズのオンラインオークションはその場に参加しているような臨場感を味わえる趣向が強く反映されており、テレビショッピングのような感覚で楽しめます。

全世界の入札集計会場(各地のカスタマーが一同に映し出される)と競売人(オークショニア)のいるスタジオを大画面で生中継され、参加者はサイトのオークションルーム内で放送を見ながら入札参加が出来ます。

オンラインからの入札、電話入札、予約入札と入札方法が入り乱れる中、どうなるのかと言った動向を競売人がアナウンサーのように中継を纏めて競売する手法が編み出されました。

サザビーズのFacebookページで現場中継の様子を再編集されたものが閲覧可能なのでぜひ見てみてください。

個人的な意見ですが、ここ数年のアジア圏でのセールスやPR活動でもサザビーズは頭一つ出ている印象です。

アートの近年の動向についてより詳しく知りたい方は「アート投資の現状」の記事をご一読しておくと良いでしょう。

中国系アート投資家がNFTアートを欲しがっている

NFTアートの登場によりアート業界全体が客層の若返り、アジア圏を中心に新規参入などで活発化したとお話をしましたが、この件について更に詳しく見ていきたいと思います。

客層の若返りとは具体的にどれくらいの層なのか

サザビーズの公表では40歳以下の若年層が大幅増加としており、クリスティーズの公表では平均42歳と詳しく公表しています。

アジア圏とは具体的にどの国を指すのか

中国です。
香港の方か、それ以外の中国本土の方かまでは分かりませんが、アートバーセルの年間リポートを確認するとしっかりと割合まで示されているので間違いないと思います。
40歳以下の若年層を中国では80後(パーリンポウ)と言って最先端技術で時代をリードする存在なので整合性が合うのも頷けます。

中国恒大集団の破綻が起きて以降、チャイナマネーにも曇りが見えたのではないかとの見方もありますが、結果として表れる数字として彼らのアート投資参入によって世界規模でアート業界が動いている事は確かです。

中国とNFTアート事情についても触れておきたいと思います。

中国本土のIPではオープンシーへのアクセス権さえありません(2022.2.12現在)し、イーサリアム(太幣)の交換ルートにもかなり厳しい制限を設けていると思います。

外資に資本が流れる事を制限する方向で調整されているようで、今後の見通しとしてアリババやテンセントが中国独自のインフラを整えて類似性のある商材を近いうちに全土に広げると思われます。

それでも、香港を拠点としている外資資本の企業からのNFTアートに関する情報発信には関心が集まり、微信購読(中国版LINEの中にあるマガジン)の中国版VOGUE(2022.1.26掲載)でもエミネムを模したNFTアートの落札結果が掲載されているほどです。

中国のアート投資家らもNFTアートに注目しているとはいえ、政治的背景があるのか中国で最大規模のオークションハウス嘉徳では2021年春にNFTアートを競売した後は定番化しませんでした。

中国元を外資資本のデジタル資産にしてしまえば没収・徴収される事も容易ではなくなるので需要は高く、NFTアートは中国に住んでいる投資家にとっては欲しくても簡単に手に入らない存在なのです。

ここに中国においてNFTアートの希少性が高まる基盤があります。

そこで登場するのが香港を拠点とする外資資本のサザビーズやクリスティーズなどのオークションハウスで購入できるNFTアートだと言う事です。

落札後も中国においてNFTアートの管理は日本のようにはいきませんが、プラットフォームがオープンシーだとしてネットバンクからメタマスクに入ってイーサリアム決済をするよりは遥かに障壁が低いと思われます。

リアルのオークションに出たNFTアートとしても希少性が高まりますし、注目が集まっています。

オークションハウスで購入できるNFTアートは、中国を中心としてますます人気が高まる事でしょう。

アート投資の成功には国際的な広い視野と計画性が鍵となります。

NFTアートの出展場所は従来のプラットフォームだけではなく、オークションハウスやアートフェア、画商らが仲介してオンライン上で取引される時代がもう始まっているのです。

オンラインでのアート購入のメリット

オンラインでアートを購入するにはこちらのようなメリットがあります。

オンラインでのアート購入のメリット
  • プライベートセールを活用してじっくり品定め
  • オンライン決済で支払いがスムーズ

プライベートセールを活用してじっくり品定め

プライベートセール(オークション形式ではない売買)ではじっくりと交渉出来ます。
お店のようにあるものの中から探す・選ぶのではなく、「〇〇の○○を探しているんだけど」と言った風に先方に依頼することも可能です。

アートフェアで画商が出店している作品の合い見積もりとしてオークションハウスのプライベートセール部門に相談してみるのはいかがでしょう。

もし仮に、日本の画商と縁があったとしても、外部資料として世界的な大手を活用するのは手だと思います。

著名な作品を購入するなら尚の事、世界的規模のアートフェア、オークションハウスをオンラインから気軽に活用してみてください。

アートの選び方については「アート/美術品の選び方を解説」の記事で詳しく解説しておりますので、是非ご参照ください。

オンライン決済で支払いがスムーズ

決済方法も銀行振込やクレジットカード決済以外に暗号資産(仮想通貨)も既に受け入れている企業もあり、多種多様なサービスが備わっています。

オンラインにおけるアート購入のデメリット

次に、インターネット上でアートを購入する際のデメリットについてご紹介します。

オンラインでのアート購入のデメリット
  • 質感まで確かめることができない
  • 贋作の到着

質感まで確かめる事が出来ない

オンラインでは実際に手に取れないので質感まで確かめる事は難しいです。

ただし、手に取れないなりに判断材料を増やしていけば、オンラインでも十分に魅力的な商材を購入する事が可能となります。

画像の入手

まず最初に、カタログ用の画像だけでなくリアルに現場で撮影した画像を貰っておく必要性があります。

リアルに現場で撮影した画像とは、カスタマーサポートしてくれている、もしくはロジスティックスの方がその場でiPhoneなどのカメラで撮影したテクニックや加工が混じっていない画像の事です。

カタログ版として撮影している全ての画像と共に、リアルな画像もZIPファイルで立体物なら最低でも20枚は貰って置いて下さい。

あらゆる角度からの画像を手元に置いておいて、もし足りない面があるならその画像もオファーしてください。

動画の入手

動画も貰っておくと良いと思います。

油絵・陶器の場合はもし先方が出来るならUVライトで照らした動画も貰えると修復状況を確認に役立ちます。

コンディションレポートの入手

海外のオークション会社では頼めば『コンディションレポート』を発行してくれるのでそれも購入前に手元に置いて判断材料にしましょう。

『コンディションレポート』にはサイズ、劣化状況、UVライトチェックなど項目があって一目で確認できます。

なお、日本のオークション会社、中国系のオークション会社でも『コンディションレポート』をオファーするだけオファーしてみたら良いと思います。

もし仮に『コンディションレポート』を発行できないのであれば、その理由も聞いてみて下さい。

このように購入までのやり取りの中で、先方の信用度を見極めましょう。

担当がしっかりと付いてサポートしてくれる体制が整っているかどうか、確認した上で購入する事をお勧めします。

例えば海外から日本に作品を送るにしても通関トラブルがあった時、問題解決に協力してもらえる体制があるのかどうか、支払い後にスキップアウトされないように予防線を張っておいてください。

『今、手元に作品がないからリアルに撮影した画像が送れない』であったり『元々持っている人が画像を取られたくないと言っている』など言い訳があれば、引いた方が良いと思います。

購入して実際に届いた際に傷がある場合なども、貰っている画像や動画、『コンディションレポート』と照らし合わせる事が出来るので必ず事前準備をする事をお勧めします。

贋作の到着

掲載されている画像と実際に届いた品物が違う…と言った通販でお馴染みの問題が発生しない為にも、上記の資料を事前に集める事が重要視されます。

購入前に必ず売り手側に不安要素は全て質問して解決しておきましょう。

古物商許可証

これは国内に限りますが、気になるなら『古物商許可証』の提示をしてもらって控えておくのも安心用途となります。

サイトなどがあれば何処かのページに記載されている場合もあるので、チェックしてみてください。

この『古物商許可証』は警察が発行しているものです。

問題解決が難しい場合に、番号から照合して割り出せるのでそのまま警察に相談してみたら良いと思います。

知っトクコラム

近年、法改正があって各管轄によって扱いにばらつきがあると思いますが、古物業者一覧をサイトから確認できます。

参考に京都の業者一覧を確認できるページリンクを張っておきますので、業者が不安な場合などもオンラインを上手に活用してみましょう。

京都府公安委員会

オンラインでのアート購入の注意点

では次に、実際にオンラインでアートを購入する際に注意しておくべき点についてご紹介します。

オンラインでのアート購入の注意点
  • エビデンス手配
  • 手数料の確認
  • デポジット制・カードチェックなどの事前準備

エビデンス手配

上項でも触れた十分な枚数の画像、動画、『コンディションレポート』を貰う事と共に、エビデンスも作品に付属しているのか確認が重要です。

水晶と書いてあるのに何の鑑定書もない、純銀・純金と書いてあるけれどその根拠が示されていないのは問題です。

『アンティークだから仕方がない』で終わらせていてはリセールバリューで損をしてしまいます。

リセールをスムーズに進める為の用意も、売り手側に準備をしてもらえば賢明です。

これは相手がギャラリーであれオークションハウスであれデパートの外商であれ、皆、同じ事です。

売り手が〇〇だったら安心だと言う与信管理はやめて、作品そのものに根拠のある投資をしてしっかりリセールバリューに備えましょう。

手数料の確認

2021年にクリスティーズでの高額落札作品は1億341万ドル(約113億2,500万円)で落札されたパブロ・ピカソの《Femme assise près d’une fenêtre (Marie-Thérèse)》ですが、この作品を購入するには1億341万ドル(約113億2,500万円)が必要額ではありません。

オークションには必ず手数料が掛かってきます。

輸送費の他に落札手数料、輸送手数料、梱包代なども必要経費です。

特にオークションの落札手数料は落札額の『〇〇%』と言ったように付随します。

大体のオークションは売る際も買う際も手数料が発生しますし、そのパーセンテージは売る場合と買う場合で異なります。

ギャラリーでも仲介手数料が発生する場合もあります。

オンラインで手軽に参加できるからこそ注意しておきましょう。

デポジット制・カードチェックなど事前登録の確認

オンラインでのアート購入はデポジット制・カードチェックが必要な場合があります。

通常カードチェックで銀行やクレジットカードの内容にアクセスすることは出来ませんが、デポジット制(預り金の発生)だった場合、その金額が戻って来る・来ないなどの問題があります。

国内のオークションですと100万円を預り金とする場所もあるので、事前に参加方法を確認しておきましょう。

知っトクコラム

PC環境の確認:

オンラインならではですがwi-fiやPCの調子に左右されてしまうので、固まってしまったタイミングで本意ではない別のものを購入してしまう場合があります。

これは吟味した末のものであれば間違いないですが、即興的に流れるオンラインオークションなどでは不利になるのでポケットwi-fiを予備にしておく・PCとは別にタブレット端末を用意しておくなどされると良いと思います。

あえてここに記載している理由としては、オンラインオークションでは「キャンセル」が出来ない為です。

「今の入札は間違えです」と差し戻しが自由に出来るオークションは個人的に見た事がありません。

現代アートは作品によって数十億単位となるので気を付けておいてください。

オンラインでのアート購入のまとめ

今回はいかがでしたでしょうか。

結びの前に記事のおさらいをしたいと思います。

本記事のまとめ
  • コロナ禍のリベンジ消費はオンライン上で活発に取引されました
  • バンクシーなどの高額落札の舞台もオンラインへ移行しました
  • NFTアートの競売も老舗オークションハウスで行われています
  • 中国系アート投資家がNFTアートに強い興味を持っています
  • オンラインでアートを購入する際には様々な決済方法が選べる場合があります
  • オンラインだからこそ事前にトラブル防止を心がけましょう

アートはオンライン購入がトレンドです。

ぜひこの機会にアート投資の方法を見直してみてはいかがでしょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事の制作者
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坂本智美

京都造形芸術大学(現京都芸術大学)を卒業後、任天堂株式会社の商品品質管理部を経て、和器商会株式会社のオークションマネージャーを歴任。

  • 現在は美術修復スタジオを京都にて運営し
    リセールバリューの底上げに日々奔走
  • 美術に関するコンサル業務も請け負う

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この記事を書いた人

京都造形芸術大学(現京都芸術大学)を卒業後、任天堂株式会社の商品品質管理部を経て、和器商会株式会社のオークションマネージャーを歴任。

現在は美術修復スタジオを京都にて運営し、リセールバリューの底上げに日々奔走。美術に関するコンサル業務も請け負う。

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